可愛くねぇ奴。- 2 -

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junta ▷▷



ある日の仕事終わり、店に鍵をかけながら携帯を開くと、Aから連絡が入っていた。
内容は、一緒に飲まないか、という誘いだった。

当たり前にその誘いに乗った俺は、今、Aの家にいる。



「ごめんねお酒買ってきてもらっちゃって」
「ん？あぁ、べつにええよ」



昔から変わらない、Aの好きな酒や季節限定の缶チューハイなど数種類の酒を冷蔵庫にしまう。



「A、最初どれ飲む？」
「私が好きなやつがいい」
「ん」



Aが昔から好きな酒の缶を手渡すと、ありがと、と小さな声で返ってくる。

自分の酒を持ってソファに並んで腰掛け、「乾杯」と缶をそっとぶつけた。



「やっぱりこれ美味しくて好き」
「よかったな」



酒を飲む姿を見て、何となく源氏名の姿が薄れている気がした。
もうこの子は、源氏名ではないから当たり前だが、少しだけ寂しい気もした。



「なぁ、」
「ん？」
「岸さん元気？」

「うん、変わらずだよ」



俺は見逃さなかった。その一瞬の表情を。
何となく岸さんと何かあったんだ、と感じる。

俺はAの頭にそっと手を乗せて、ゆっくりと撫でた。



「…岸さんと何かあったん」

「やっぱ敵わないなぁ淳太には…」



悲しそうな顔で俯くAを見て、自分の予想が正しかったと知る。



「…好きな人がいるんだって」



俺は思わず、撫でていた手を止めた。
何故彼女がこれほどまでに悲しんでいるのか、俺には分からない。

だって…、だって彼は俺に言った。
Aのことが好きだ、と。








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