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この日の仕事終わり、岸さんの歓迎会に私たちの部署も呼ばれた。
急遽決まったことで、私はトイレで隠れて淳太に出勤できないと連絡を入れた。
「かんぱーい!」
上司の音頭で歓迎会は始まり、あっという間に岩橋くんの隣は席戦争が始まっていた。
岩橋くんは埋もれている。モテる人は大変だ。
『あの、』
「あ、はい」
『隣、いいですか?岩橋の隣だったんですけど座れなくて…』
あはは、と笑うのは今日の主役の岸さんだった。
「もちろん、どうぞどうぞ」
グラス片手に座ると岸さんは少し困ったように笑った。
『岩橋、まじすごいっすね』
「ほんとモテモテですよね」
『Aさんもじゃないっすか』
「そんなことないですよ」
『うちの会社のほとんどはAさんがお気に入りって聞きますけど』
「あはは、皆さん優しいですね」
『俺もそのくらいモテたいっすよ』
グラスを傾けながらフッと笑う岸さんは、やっぱりかっこいい顔をしている。
「十分お綺麗な顔してるじゃないですか」
『あはは、どこがっすか』
今度は少し声を出して笑う顔なんてほら、こんなにも甘い。
『そんな見ないでくださいよ、粗探ししないでくださいw』
「そんなことしてませんよ!w」
粗探しなんてしていない。
見惚れてしまったと、言葉を訂正したい。
それから結局、最後まで岸さんとは隣でずっと話していた。
会って初日だったが、そんなこと忘れるくらい楽しかった。
いつもお酒の席では、ドレスを着て、指名してくれた人にニコニコして。
だからだろうか、今日のような夜の仕事とは無関係の飲みの席でもどこか力が抜けなくなっていた。
こんなにも、ただ、学生時代に友達とただ喋っているような感覚でお酒を飲めたのは久しぶりだった。
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作者名:ash | 作成日時:2020年1月20日 21時