全てを捨てて、ここに来て - 2 -

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トイレから出てきた男と、すれ違った瞬間に香ったあの匂い。




「…やっぱり」




トイレの個室にあるサニタリーボックスを開けると白い粉が何粒が付着した袋が捨てられていた。




「…まさか」




直接やり取りせず、ここで取引をしているのかもしれない。
もしかしたらそれに加えて、ここで使用している奴もいるかもしれない。

無線のマイクのを再度入れ直し、テーブルで待つ先輩を含め全員に情報を伝達する。





「すれ違った男から異臭。トイレのサニタリーボックス内に使用後だと思われる袋を発見。取引はトイレの個室で行われているかもしれません。
ただ、店内に犯人グループのメンバーはまだ誰1人いません。」






私は何も手を付けず、そのまま自然に先輩の元に戻った。






「お待たせ」

「ううん、大丈夫」






…次、トイレに行く人は誰だ。


もし私の推理が正しかったとして
トイレでやり取りが行われているとしたら、お金か薬が隠されている可能性が高い。


だとしたらそのどちらかをセッティングしに行く人物がいるはず。

その人物がトイレから出た後、取引相手が入る前に私たちのどちらかが入って確かめなければ。




でも…それを売っているはずの犯人グループの人間が誰もいないのだ。




まさか犯人グループの顔写真が間違っていたなんて事は_______








「…………ぃた、」








staff only と札が下がっていた階段から降りてきた人物は何食わぬ顔でトイレへと入っていった。




あれは、…桜庭だ。




先輩を見ると、先輩も同じ事を考えていたようで
人差し指を小さく上に向け、次に「2」という数字を指で作り、次に「5」を作った。





【 2階に犯人グループがいるかもしれない 】





「俺もトイレ行きたくなっちゃったw 行ってくるね」

「うん、行ってらっしゃい」






桜庭がトイレから出てきて階段を上っていった。

濱田先輩は素早く席を立つ。


心臓が嫌な音を鳴らしているのを感じながら、先輩からの無線を待った。

減っていないカクテルのグラスも汗をかき、滴っている。






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“ トイレ内、それらしき物を発見しました ”







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