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寝室に運ぶと言っても私はそこまで力持ちではないので寝っ転がっている勝利の左腕を掴んで引っ張っていく。
「おもっ、、」
なんだか死体を運んでいるような気になって嫌になる。
すると勝利の左手が私の手首をきゅっと掴んだ。
「あ、ごめん、手、痛かった？」
乱暴に引きずりすぎたかと尋ねると半目で勝利は私を見た。
勝利「そーくん...？」
「違いますAだよ」
勝利「A笑笑」
名乗っただけで笑われるってどういうことよ。
勝利「あるけるから、手、離して」
「はい」
テディベアみたいに体育座りになって、そのあとよっこらしょ、と立ったがフラフラしてて見てられたもんじゃない。
慌てて肩を貸すと何故か
「おんぶしろ」
の一点張り。
「んもー、どっちが女！？」
とりあえずやってみよう。やってやろう。
はい、と身を屈めると首元に手が回った。
ずん、と体が重くなる。
よっこらせ、と体を起こそうとすると、
何これおっも、、、！
酔っていて遠慮のない勝利は体重を100パーセント預けてきて、いくら華奢だとはいえ私にはキツかった。
もうこの所は諦めてここに布団とかしいてストーブ持ってきてあげよう、とか考えていた。
でも首元にある手が全然私を話してくれなくて、なんかずっとぶつぶつ喋ってるしめんどくさいことこの上ない。
勝利「A、泥団子でお城でも作るつもり！？」
あー、それ、うちのお母さんが私が小さい時よく言ってたヤツ。
なんで覚えているんだこの人。
勝利「Aのことならなんでも覚えてるもんねー」
きっと私の黒歴史を100個以上ストックしているんだろう。この人は。
だから私はそれを口止めするためにずっとこの人のそばにいなきゃいけないのかもしれない。
勝利「ひひっ」
急に笑った勝利は、多分あのひよこみたいな顔で笑ってるんだろう。
顔が後ろにあるからわからないけど多分そうだ。
勝利「ねー」
「...ちょっ」
背中にあった勝利の顔が前に出てきて、頬と頬がぴたっとくっつく。
「...寝たの？」
勝利「寝たよー」
もぞもぞくすぐったい髪の毛と、ぴったりくっついた頬と、脳内に響く声。
なんかドキドキしてきた。
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作者名：みよ | 作成日時：2019年2月3日 14時
