まよなかのシャイボーイ shori.s (ページ45)

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『そしたらさ、教室にもうひとり人がいて、

佐藤先輩だったんだけど、

Aの前の席に座ってた。

イビキかいて寝てるAを、見たことないくらい優しい眼差しで見てたんだけど、頭ぽんぽん、って撫でたあと、
椅子を引きずる音が聞こえて、そしたら、佐藤先輩がAに顔を近づけてて。

あ、見ちゃいけない、って思ったけど動けなかった。

佐藤先輩耳真っ赤だったけど、
たぶん、ほっぺにチューしてたんだと思う。

夕日が差し込んでる教室で、すっごい綺麗だったよ。なんかドラマみたいで。

当時は結構傷ついたけどね。

で、出てきた佐藤先輩が私を見て飛び上がって、裏返った声で「ゆ、言うなよ！アイツには、一生！絶対に言うな！」って。笑』

「一生って、それじゃ時効とかないじゃん」

『まあ言っちゃったもんはしょうがなくない？』

今話題のシカゴピザが運ばれてきて、夏希は嬉しそうに写真を撮っている。

その反面、私は食欲がなくて、どうしていいか分からなかった。

『どしたの？A？』

「･･･もうムリだー」

かあっと熱くなる顔を隠すために机に突っ伏すと、夏希は声を上げて笑った。

『ちょっと、お店の中で目立っちゃってるよ、やめてー笑』

「だってムリだよ、そんなこと今更知ってもさぁぁぁあ」

『まあそうだね、

でもさ、萌えない？唇じゃなくてほっぺってとこが、控えめな佐藤先輩らしくて』

「･･･」

「死ぬほど萌える」

突っ伏したまま本音を漏らした私を見て夏希がまた笑う。

『心の声が漏れたな。

てか、やばいね。A本当に佐藤先輩のこと大好きじゃん。
早く伝えないと、また誰かに取られるよ。』

「うん、頑張る、、」

『はい、食べよう、ピザ！』

「ありがとう、」

高校時代とはいえ、こんなエピソードを聞かされて、次勝利に会った時はどうなってしまうんだろう。

そう思うとまた顔が熱くなってくるようだったが、今度こそ素直にならなきゃ、夏希のおかげでそう覚悟することができた。