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結局3人で何を喋ったのかは覚えてない。
でも確か、菊池先輩が先に酔って寝ちゃって、何故か私と無口君でしゃべっていた。
無口くんは全然無口じゃないし、むしろ恋愛相談に関してはレジェンドって感じの受け答えだった。
まあイケメンだからそのくらいの経験は沢山しているのだろう。
健人「菊池も、さ、自分からは行けないやつだから」
「そうなんですか?
わたしもです。
高二の時の話なんですけど」
唐突に語り始めた私に、無口くん、いや、健人さんはビールを煽って、こっちに顔を向けた。
「私、好きな人がいたんですけど、その人はとてもモテモテで。
でもベタに、2月14日にバレンタインあげようとか考えてたんですよ。
でも、中途半端に勇気がなかったのと、お金がなかったのと、時間と手間をケチったせいで、
その人には普通に市販のチョコをあげました。
でもその人は優しいからありがとうって笑ってくれて。
Aにもらえてよかったとかもいわれて、私は有頂天でした。
でもそれもつかの間、私の好きな人に、もう1人チョコをあげていた女の子がいたんです。
その子は前から好きな人に対するアピールが上手い子で、その時も高級なチョコをあげてました。
出し抜かれたって思いました。
なんかもう、ぼーっとしてるうちに、恋って逃げていってしまうものなんだなって」
健人「それって菊池のこと?」
「へ?」
唐突に質問を挟んだ健人さんに私は驚いた。
健人「こいつのことでしょ」
「い、いや、そんなことは・・・」
健人「恥ずかしくて否定したい気持ちも分かるけど、まあわかるもんは分かる。」
健人「こいつにチョコあげたんだろ。
ったく、女の子の気持ちも知らないで、ものに釣られるなんてこいつも大した男じゃないな」
眠っている菊池先輩の前髪を、健人さんが愛おしそうに撫でる。
なんだかいけないものを見ているようになって私は目を背けた。
健人「はは笑
こんな撫で方したのわざとだよ。わざと。
ちょっとAちゃんをからかいたくなっただけ。」
「どんなからかい方ですか、もう。」
健人「でさ、さっきの話だけど。
ちょっと残酷なこと言うよ。
恋愛っていうのはキモチが50パーセント。タイミングが20パーセント。」
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作者名:みよ | 作成日時:2019年2月3日 14時