まよなかのシャイボーイ shori.s (ページ32)

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仕事が終わった午後10時、

店の外で私は楽しそうに話すイケメン高身長男性二人をチラチラと見ていた。

この状況どうすればいいんだろう。

えっと、まず、無口くんと菊池先輩は中学の時までの幼なじみだったらしくて、めちゃくちゃ仲良かったみたいなんだけど、無口くんのほうが色々忙しくなっちゃって、会えなくなってたから、久々に会えて嬉しかったみたいな感じだった。

その話を聞いている間に、無口くんがメイド喫茶に来ている意外な理由までわかってしまった。

風磨「懐かしいんだろ？子供の頃が」

健人「あ、バレた？笑」

風磨「わかるよ、お前の昔の家と、ここの喫茶店はよく似てる。メイドの制服までそっくりだな」

「どういうことですか？」

2人は詳しいことは教えてくれなかったけど、なんとなくちょっとだけ、無口くんのこれまでの人生がわかった。

無口くんはすごくお金持ちだったんだけど、お母さんとお父さんがあまり家にいない中子供時代を過ごして、

だからこそ、広いお屋敷でたくさんのメイドさんに遊んでもらっていたそうだ。

そのせいで今でも寂しくなるとこういうところに来たくなるらしい。

風磨「全く変わった性癖だよな」

菊池先輩がそうやって笑い飛ばすと、無口くんも顔をクシャッとさせて笑った。

無口くんのこんな笑顔を見たのは初めてだった。

健人「それで、この愛想の悪いメイドさんと、菊池は、高校の先輩後輩関係ってことね」

風磨「愛想悪い言うな。こいつは俺にとっちゃいつまでも可愛い可愛い後輩なんだからなぁ」

お世辞とはいえその一言は嬉しい。

ニッコリと笑うと、無口くんは、こんな笑顔見た事ない、と冷やかした。

風磨「どう？せっかくだし、ちょっと飲みに行こうよ」

健人「3人で？」

「私はいいですよ。お二人で行ってきてください」

健人「いや、逆に俺はいいよ。菊池とAさんで行ってきなよ」

風磨「2人ともそういうと思った。だから3人で行くんだよ。

ほら、行くぞ」

先に歩き出した菊池先輩を見て、無口くんがこっちを向いた。

健人「行きますか。Aさん」

「あ、はい。」

無口くんと飲みに行く日が来るなんて、それも菊池先輩も一緒に。