15 ページ15
カフェラテを持つも、なかなか運ぶ気にならない。
うーん、ここは仮病を使おうか、それとも、、
『 今忙しい時間帯でしょ！キビキビ動きなさいプリン！』
先輩スタッフに喝を入れられてしかたなくテーブルへ向かう。
ここからはマニュアル通りに、
「カフェラテでございます」
勝利「ありがと」
「あ、まだ飲まないでください。
これからおまじないかけますから。
まずは名前です。呼び方を決めましょう。
ではあなたのことはしょうりんりんさん と呼ばせていただきますよね」
勝利「は？」
「私の後におまじないを唱えてください」
勝利「...」
「甘くてほろにがい妖精達のダンスであなたのハートもメロメロ〜♡
美味しくなーれ、カフェラテビー...」
急に覗き込んできた勝利に私は言葉を止めた。
勝利「どうしたの？これ」
「...ひっ」
冷たい勝利の手が首に触れて小さく悲鳴をあげた。
勝利「これってさ」
「...あ、もう、触っちゃだめですよ。ここはそういう店じゃないですから」
そうとだけ言って慌ててその場を去る。
やばい、お客さんにやってもらうおまじないやらないで帰ってきちゃったけど、もう無理だった。
胸がドキドキして、あの場にいられなかった。
他のスタッフの目を盗んでロッカーに戻り、鏡を見る。
「やべぇ、すっかり忘れてた…」
このキスマークどれほどのお客様に見られたんだろう。
ネットに
«衝撃»秋葉原の某メイド喫茶、×××・ドリームのメイドにはキスマークがついていた！
なんて書かれてたら人生の終わりだ。
昨日はチリチリした火照るような感覚が首元に残っていたのに、今はひんやりした手の感覚が残っている。
勝利も彼女が出来たことは沢山あるから、女の子が首弱いこと知ってるはずなのに、外で、しかもバイト中にいきなり首とか触るなんてひどい。
あーいや、女として見られてないんだろうな。私は。
それにしても、昨日のこと、記憶があったのだろうか。
いや、絶対ない。
じゃあ私のこのキスマークは、ほかの誰かにつけられたものだと勘違いしているのだろう。
もし何か聞かれたら、めんどくさいからヘアアイロンでやってしまったとかそう言っておこう。
ステージもあるし、そろそろ戻ろう。
表に戻ると、勝利はもういなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 187人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みよ | 作成日時：2019年2月3日 14時
