まよなかのシャイボーイ shori.s (ページ12)

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動けないままその場に座り込んでいた。

勝利は私の背中ですぅすぅ寝息を立てて寝ている。

だいぶ冷えてきた。

家に帰らないと。

やっとの思いでリビングまで勝利を引きずり、カーペットの上へ転がして、布団をかけた。
風邪引いたら困るから、毛布も。
一酸化炭素中毒になると困るから、ストーブは消して。

帰ろうと思い玄関を開けると、なんと外は雪が舞い散っていた。
勝利の家の玄関にあった傘を借りることにした。
ちょっとこの雪の中を傘なしで帰るのは気がひける。

刺すような寒さの中、真っ暗闇にふわふわと降る雪はとても綺麗だった。

でも、寒さを感じる程、唇が触れた首筋が火照ってくる。
チリチリとした痛みは、私の心の痛みとよく似ていた。

高校生の時、私の親友が勝利のことを好きになった。
その親友に言われた言葉が今になって蘇ってきた。

『本人たちがいくらなんとも思ってなくても、
周りから見たら幼なじみって、めんどくさい関係だよ』

結局その子は勝利は一過性の恋だったとか言ってどうにもならなかったけど、なんかこの言葉だけがずっと胸の奥に残っていた。

これから私も誰かと結婚して子供を産んで、家庭を持つかもしれない。

そしたら勝利とは大の仲良しって訳にはいかなくなる。

でも私の人生のパートナーが勝利だなんていう方がもっと想像がつかない。

そう言えば喧嘩をして嫌いだって思うことはあっても、好きだなって思う瞬間はなかった。
ただ隣にいるのが心地よくて、このままが一番だった。

もう子供じゃないんだから、こんな曖昧な関係いつまで続けるの。

酔っ払い勝利の訳わかんない行動が、私にそんな問いを投げかけてくれたみたいだった。