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episode:13
しばらくすると、心配したような顔をした
お兄さんが家に帰ってきた。
悟「A、手首見せて。」
…お兄さんは怒ってるのだろうか、
私が馬鹿な事をしたから。
少し声のトーンが下がっている。
「ごめん、ね。
でもお兄さんの事痛くしたくないから。」
悟「だから自分で試したって事?」
コクリ、
頭を縦に頷くと真顔だったお兄さんの
口元が、少しニヤついたのがみて分かった。
(あ、笑った。)
お兄さんの笑みに、何故か私もほっとしてしまう。
悟「ねぇ、どれくらい痛かった?」
「えっと、」
悟「でも泣いちゃうくらい痛かったんだよねぇ…
そうだよね…。まぁ泣いてるAも
可愛いんだけど。」
そう言いながらお兄さんは私の傷口にそっと触る。
「汚いよ、やめてお兄さん。」
悟「やめないよ。汚くないもん。
あ、見てみて。俺の指、Aの血で
真っ赤になってる。」
(悟お兄さんの様子が変だ。)
いつもは「僕」と自分の事を呼ぶのに
いつの間にか「俺」になっているし、
私の血で真っ赤になった自分の手を
愛おしそうに見ている。
(怖い。)
悟「早く止血しないと病院行きになるのは
わかってるんだけどさぁ。」
どうしよっかなーっと考えるような素振りを見せた
彼は何かを思いついたように顔を明るくさせた。
悟「…あぁ、そうだ。
このまま水で流すのはしみるから痛いよ。
だから俺が舐めてあげる。」
「…え?」
舐めるって、血を?お兄さんが?
なんで?
「お、美味しくないよ。
お兄さんに無理させたくない。」
悟「大丈夫だから。ほら、よくあるじゃん。
怪我しちゃった女の子の指を男の子が口に含んで
消毒〜みたいなシチュ。」
Aが好んで読んでる漫画や小説には、
そういうシーンは無かったの?
ねぇ、いいよね?
そう言うお兄さんは1歩、2歩と
私を壁際へ追い詰める。
酷く美しい青色の眼球を見開いて、
こんなにも近距離で言われると、
迫力があってどうも断れなかった。
…断れるはずがない。
「じゃあ、お願い、します」
悟「りょーかい」
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ちょっと変態さんな五条悟。
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作者名:tsuki | 作成日時:2020年11月28日 21時