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episode:12





昼近く、Aから着信がきた。



こんな昼間からどうしたんだ?
そう思い電話に出てみると、


”お兄さん、やっぱり私はお兄さんが
傷つくのが嫌だよ。”



と、泣いていた。




悟「なんで泣いてるの?なんか怖い事でもあった?」




肩で耳元にあてがった携帯を支えるような体制を
とり、帰宅の準備を進める。

Aが泣いているんだ。
早く帰らないと。




グズグズと泣くAは、


” 悟お兄さんが痛みつけてって言うから、
まず私が試したの。だけど、痛くて痛くてたまらない。こんな事、お兄さんにしたくない。”

と続けた。





.




痛 み つ け る …?





(待てよ、)


(…もしかして、自傷行為?)



(僕の為に?
僕があんなこと言ったから?)



(へぇ、自分で試しちゃったわけね。)



(なぁんだ、Aも十分イカれてるじゃん)



(まぁ僕はもっとイカれてるんだけどね。)





「今から帰るから、ちょっと待ってて。
とりあえず、そのままでだよ。直ぐに着くから。
怖かったよね、でも大丈夫。僕が居るよ。」




´いつも通り優しいお兄さん´という
偽りぶった演技をして、自宅に向かう。




でもあの子、分かりやすいんだよねぇ。
僕に怯えてる時と、そうじゃない時の顔。





「指切りげんまん」の時なんて、
顔が強ばってたし。




…でもそんなのはまだ序の口だよ。


ゆっくりゆっくり、もっと酷い事しちゃうから。


酷い事だと思わせないように、ね。




あーあ、今から楽しみでしょうがない。




(家に帰ったら
血だらけで泣いてるAが見れちゃうって事?)




(何それ、すっげーラッキーじゃん。)



_______





()を使うのが好き。




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作者名:tsuki | 作成日時:2020年11月28日 21時

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