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episode:11
世の中には自分で自分を傷つける人が
いるとどこかで耳にした覚えがある。
それは俗にいう自傷行為というもので、
自分の手首や腕をカッター等の刃物で
切る事なんだけど、
それに快感を覚える人が多いらしい。
お兄さん、昨日言ってた。
”僕の手首を切り裂いてくれても全然いいよ?”
って。
私にはその行為がどのくらいの恐怖や、
真逆に快感を覚えるのかが分からないし
どこまで痛いのか分からない。
だからといって、紙で指を切ってしまう…
なんて程度の痛みじゃ、おさまらないと思う。
だから、自分で試して、その痛みを
味わってからお兄さんに提案しよう。
と言う結果にたどり着いた。
そうと決まれば実行だ。
大きなキッチンに移動し、スライド式の
棚を開けると包丁が3つほどある事が確認できる。
この家にはカッターがないと思うから、
これでやるしかない。
.
「ちょっと怖いけど…」
自分の手首に包丁をおく。
…このまま、押し込めばいいのかな、
それとも引くの?
(分からないから、どっちでもいいか。)
グサッ
「…っっ!」
(すごく、痛い。)
ゆっくりと目を開けると、
白い自分の肌から1本の切れた筋が見え、
そこから少しヌメリ気のあるものがツタリツタリと
こぼれ落ちる様子が見えた。
自分の手首から流れる赤い液体が、
何だか不思議に思える。
…痛い。
痛いよお兄さん。
こんなに痛い事、私はお兄さんに出来ない。
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次話から五条さんが狂ってる…はず。
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作者名:tsuki | 作成日時:2020年11月28日 21時