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「…すま、いる……」
「…遅くなってごめん…痛いよな。俺が、俺のせいで…守ってやれなくて、ごめん…」
苦しそうな声に大丈夫だよと返したいのに、もうそんな気力すら残っていなかった。力を振り絞って笑ってみせれば、彼は更に表情を歪める。
「…帰ったらきんときに診てもらおう。だからもう少しだけ、我慢してくれるか？」
彼に診てもらえるのならきっとそれ以上はない。うん、と口に出したつもりの声は音にならなかったが、首を動かせたのが幸いだ。
線の細い体のどこにそんな力を隠していたのか、彼は頷いた私を軽々と背負うと、すぐさま牢を出て駆け出した。
「おい、何してる追え！」
「幹部だ、逃がすな！」
バタバタと騒がしい足音と、殺気立った声に思わず彼の首に回した腕に力を入れる。
彼は片手で私を支えながら廊下で立ち止まると、前から後ろからと襲いかかろうとしてくる敵に向かって片手を________否、その黒い塊を向けた。
「逃げられないのはお前らの方だよ」
響く発砲音。次々に勢いを失い、膝を折って倒れてゆく人々。
轟々と燃え盛るような怒りを含んだその言葉の矛先が向けられているのは、果たしてこの男達か、それとも彼自身なのか。
しかし彼らのように訓練を積んでいなくとも、その銃弾が一寸の狂いなく脳天へ撃ち込まれている事は、私でも分かった。
「…すごい、ね、スマイル……」
「……悪い。怖かったよな」
「ううん…ありがと、助けに来て、くれて」
静かになった廊下で、亡骸を踏まぬよう避けながらスマイルは再び足を動かす。
怖かった。痛かった。本気で死を覚悟した。でもやっぱり、出来るならまだあの国で彼と共にいたいと思うのだ。
「…あぁ、殲滅した。今から戻る」
インカムへ話しかける彼の声が遠ざかる。
きっと、この日の事を彼は一生背負い続け、一生自分を許さないだろう。
それならそれでいい。私も守ってもらわなければ生きていけない身だと分かっているから。
ただ、私は私の意思で、危険だと分かった上で彼の隣を選んだのだ。
そこに半端な気持ちはないのだと、軍人である彼に添い遂げる覚悟でここへ来たのだと、彼はきっと分かっていない。
だから、目を覚ましたら真っ先に伝えよう。
私を背負う大切な恋人に、たとえこの先どんな出来事があろうと私は貴方の手を離しはしないよ、と。
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戦闘シーンが控えめになってしまいました、すみません…！
ひなた様、リクエストありがとうございました！
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まめこ(プロフ) - 陰キャ寄りの陽キャさん» まさか、コメント頂けるの本当に嬉しいので、ぜひたくさん書き込んでやってください…！嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張ります！！ (2021年6月25日 23時) (
レス) id: 17312d353f (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます嬉しいです…！！もちろん大丈夫ですよ、いつでもお待ちしてます！ (2021年6月25日 23時) (レス) id: 17312d353f (このIDを非表示/違反報告)
陰キャ寄りの陽キャ(プロフ) - まめこさん» 教えて下さりありがとうございます！逆にコメントしすぎて迷惑ちゃうかなって思いました…すみません。これから応援してます!!大好きー！ (2021年6月24日 23時) (レス) id: fe4eb2c8c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - まめこさん» 最っっっっっっっっっ高でした!!!!!!!!まじで…もう！なんかこう…！（語彙力低下）本当にありがとうございました！！！（またリクエストいいかな…） (2021年6月24日 23時) (レス) id: 2c4cc0fb10 (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - ゆうさん» そう言っていただけてとても嬉しいです…コメントありがとうございます。リクエスト承りました！必ず書かせて頂きます！ (2021年6月20日 16時) (レス) id: 17312d353f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ
| 作成日時：2020年11月10日 0時
