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「ちょっときりやん!なんで結界張ってんの!?」

突然聞こえた大声に意識が引き戻される。
少し高い男の声。明るい印象を抱くその声は明らかに怒りを含んでおり、それが目の前の悪魔に向けられたものだろうという事はすぐに分かった。

「げ、バレた」
「バレたじゃない!も〜どうせ隠れて食べようとしてたんでしょ」

声の主は2階へ続く階段の途中に立っていた。人間の姿をしているが、あれもまた悪魔なのであろう。
身を乗り出して手摺りから飛び降りると、その小柄な身の背中に生えた羽がバサリと動く。
身軽な動作で私達の傍に着地すると、その悪魔は興味と好奇心に溢れた、言わば悪魔らしからぬ表情で私を視界に捉えた。

「…あれ、乗っ取れない」
「そりゃ聖職者だもん、しかも上の位の。俺の攻撃も避けられたし」

へえ、じゃあ強いんだね、とさらに目を輝かせるその悪魔の瞳は、まるで晴れた空のような色をしていた。
金髪の悪魔よりもかなり小柄で童顔なせいか、羽と角さえ隠せばただの無邪気な子供と相違ない。
勿論、見た目だけなら、の話だが。

「貴方は…レヴィアタン?」
「え?あぁ、人間にはまだそう呼ばれてるんだっけ」

そうだよ、と悪魔は素直にこくりと頷く。
人に取り憑き操る事が出来るのは、間違いなく【嫉妬】を司る悪魔______レヴィアタンの特徴だ。

全く警戒心を感じさせないが、これが本性なのか、それとも金髪の悪魔のように油断させる為に隠しているだけなのか。
きっと後者なのだろうと考えながらそう、と頷けば、金髪の悪魔がもういいでしょ、と私の手首を掴み話を遮った。

「だから食べちゃ駄目だって!」
「は?俺が最初に見つけたんだから俺の獲物だろ」
「でもだって、せっかくまともに話せそうな人間なのに勿体ないじゃん。スマイルも食べるなって言うよ、絶対」

この様子を見るに、金髪の悪魔はまず間違いなく【暴食】を司る悪魔だ。レヴィアタン同様ベルゼブブという名があるが、人間と悪魔達では呼び名が異なっているようなので、先程呼ばれていた「きりやん」という方が正しい名前なのだろうか。


「…あ〜もう分かったよ。じゃあ用が終わったら俺が食うからね、絶対」

不服そうに眉を寄せながらそう言うと、きりやんと呼ばれる悪魔が深い溜息を吐く。
私を見下ろすその目は、欲望をそのまま映し出すように爛々と輝いていた。



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初日から評価お気に入りありがとうございます〜!!
ちゃんと頑張ります!!

*→←Devils.



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クリパ好き - 神…() (2022年11月11日 10時) (レス) @page48 id: cf4801f795 (このIDを非表示/違反報告)
😊 - カッコよかったぜ!どんどん登場人物の考え方が変わっていくのがなんか綺麗で自然でなんかすごかった()完結寂しいけどおめでとう! (2022年9月3日 2時) (レス) @page48 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
Bearl - 完結おめでとうございます!それぞれの登場人物の描写が細かくって、読んでいてとても楽しかったです!小説の更新、お疲れ様でした! (2022年8月26日 10時) (レス) @page48 id: cd9603c5df (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - あいすすすさん» わ、気付いていただけて嬉しいです〜!!よろしければもう少々お付き合い下さい☺️ (2022年8月25日 16時) (レス) id: 17312d353f (このIDを非表示/違反報告)
あいすすす - 七つの大罪や美徳が好きなのでわくわくしながら読み進めていたら、夢主ちゃんの救恤と強欲の悪魔が館に存在しなかったのがここに絡んでくるとは!とても面白くて毎度楽しみにしています。これからも楽しみにしています! (2022年7月17日 8時) (レス) @page40 id: 8404f46a69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめこ | 作成日時:2022年5月24日 20時

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