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「ねーA、やっぱりダメ?」
「駄目だって。あの街は絶対手出しちゃ駄目」

ちぇ、と不満げに唇を尖らせながら、Nakamuは私の正面でテーブルに頬杖をつく。
あの街というのは、私がよく赴いていた街だ。
村があった場所からも教会からも近く、幼い頃から良くしてくれていた人達も沢山いる。…もう、顔を見せる事も出来なくなってしまったけど。


燃え尽きたであろう教会と神父の元には戻らず、私達はあの後すぐに7人で屋敷へ戻って来ていた。
教会の跡地となったあの場所は、今度1人でゆっくり見て回ろう。骨すら残らなかったあの人は今頃冥界で裁きを受けているだろうか_________否、考えるだけ時間の無駄かもしれない。

「ま、人間が居るなら別にどこでもいいんだけどね」
「俺も喰えるならどこでもいいわ。腹減ったし今夜にでも行こうぜ」

きりやんはいつでも腹減ってるじゃん、うるせえ、ときりやんへ軽口を叩くのは私の隣に座るBroooockだ。
正面では不機嫌になったかと思えばけろりと普段通りに戻ったNakamuが、Aも来る?と首を傾げていた。

「うーん…」

人間の魂を糧としている彼らは、どうやら数年ぶりに街をひとつ消してしまおうとしているらしい。私がよく赴いていた街には手を出さない、という約束を取り付けたので、犠牲になるのは少し先にある小さな街だった。
唸る私に、Aも一緒に行こうよとBroooockが尻尾を揺らす。部屋に集まると狭いから、と羽根を隠してしまった彼らの姿はまだどこか見慣れないままだ。

「…じゃあ行こうかな」
「ほんと?Aも食べる?」
「いや、私は無理だよ。厳密には悪魔じゃないんだし」

申し訳ないとも、私が守らなくてはとももう思わない。残念、と肩を落とすBroooockに、傍に立っていたきんときが呆れたように笑った。

「言っただろ、Aは俺達の眷属でしかないって」
「え〜、でも僕達くらいの力はあるんでしょ?」
「だから、それはAが元々持ってた神聖力が変化したもので、俺達の魔術とはまた違うんだって。シャークん言ってたじゃん」
「あは、そうだっけ」

本当に話聞かないな、と諦めたようなきんときが苦笑いで息を吐く。
悪びれる様子もなく呑気に笑うBroooockを見て、私もまたため息を吐いた。

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クリパ好き - 神…() (2022年11月11日 10時) (レス) @page48 id: cf4801f795 (このIDを非表示/違反報告)
😊 - カッコよかったぜ!どんどん登場人物の考え方が変わっていくのがなんか綺麗で自然でなんかすごかった()完結寂しいけどおめでとう! (2022年9月3日 2時) (レス) @page48 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
Bearl - 完結おめでとうございます!それぞれの登場人物の描写が細かくって、読んでいてとても楽しかったです!小説の更新、お疲れ様でした! (2022年8月26日 10時) (レス) @page48 id: cd9603c5df (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - あいすすすさん» わ、気付いていただけて嬉しいです〜!!よろしければもう少々お付き合い下さい☺️ (2022年8月25日 16時) (レス) id: 17312d353f (このIDを非表示/違反報告)
あいすすす - 七つの大罪や美徳が好きなのでわくわくしながら読み進めていたら、夢主ちゃんの救恤と強欲の悪魔が館に存在しなかったのがここに絡んでくるとは!とても面白くて毎度楽しみにしています。これからも楽しみにしています! (2022年7月17日 8時) (レス) @page40 id: 8404f46a69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめこ | 作成日時:2022年5月24日 20時

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