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Regret. ページ28

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「スマイルに会ってどうするんだ?」
「…訊きたいことがあるの。私の、昔の話について」
「昔の?」
「そう。スマイルなら知ってるかもしれないってNakamuが言ってたから」

成程な、と腑に落ちたらしいサタン________否、ここではシャークんと呼ぶべきか。彼はそう呟くと、何か考え込むようにして腕を組む。

「多分知ってると思うぞ、Aのその、昔?の事も」
「……本当?」
「うん。最初にお前の話してきたのもスマイルだし」

最年少で加護を授かった聖職者、という点では悪魔に警戒されるに値すると思っていたが、スマイルに聞くまで他の悪魔達は私の存在すら知らなかったのだろうか。
勿論聖職者1人程度敵でもないのは分かっているが、ここの悪魔達は余程人間に興味がないらしい。どんな話を聞いたのかと問えば、シャークんは何だったっけなと首を捻る。

「なんか面白い奴がいる、って」
「……へえ…」

私のどこがどう面白かったのかは、スマイル本人に聞けば答えてくれるだろうか。相槌を返した私をちらりと見やると、シャークんはもうあんま覚えてねーや、とカラリと笑う。
…Nakamuもそうだが、笑顔が幼く見えるのはやはり顔立ちのせいだろうか。とてもじゃないが口には出せないそれを飲み込み口を噤むと、シャークんが思い出したように声を上げた。

「……そうだ、今スマイルいねーわ」
「えっ」
「さっき外出てった気配がしたから…多分いつもの見張りだと思うけど」
「…そっか。じゃあ今は無理だね」

…成程、結界を張っている彼には、この洋館を誰がいつ出入りしたのかを把握することが出来るという訳だ。高度な魔術だとは思っていたが、そんな事まで分かってしまうなんて。
聖職者としてこんな事を考えてしまうのはあってはならない事だが、【憤怒】の対となる〖慈悲〗を司る天使________ラファエル様の加護を授かる聖職者が対峙したとして、本当に彼を封じる事が出来るのだろうか。


「……シャークん、は」
「ん?」

迷いながら呼んだ名に特に疑問は抱かなかったらしい彼が私を見る。堕天使だという彼は、私の記憶が正しければ神へ攻撃をした為に他の天使達と抗争になり、その後天界から追放された筈だ。

「…どうして……なんで、堕天なんか」

元天使ならば、私達聖職者が信じるもの全てが分からないという訳ではないだろう。
私の問いに彼は驚いたように目を瞬かせると、口角を上げながらひとつ息を吐き出した。

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クリパ好き - 神…() (2022年11月11日 10時) (レス) @page48 id: cf4801f795 (このIDを非表示/違反報告)
😊 - カッコよかったぜ!どんどん登場人物の考え方が変わっていくのがなんか綺麗で自然でなんかすごかった()完結寂しいけどおめでとう! (2022年9月3日 2時) (レス) @page48 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
Bearl - 完結おめでとうございます!それぞれの登場人物の描写が細かくって、読んでいてとても楽しかったです!小説の更新、お疲れ様でした! (2022年8月26日 10時) (レス) @page48 id: cd9603c5df (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - あいすすすさん» わ、気付いていただけて嬉しいです〜!!よろしければもう少々お付き合い下さい☺️ (2022年8月25日 16時) (レス) id: 17312d353f (このIDを非表示/違反報告)
あいすすす - 七つの大罪や美徳が好きなのでわくわくしながら読み進めていたら、夢主ちゃんの救恤と強欲の悪魔が館に存在しなかったのがここに絡んでくるとは!とても面白くて毎度楽しみにしています。これからも楽しみにしています! (2022年7月17日 8時) (レス) @page40 id: 8404f46a69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめこ | 作成日時:2022年5月24日 20時

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