第9話 消える生命 ページ10
NOside
祈りが始まる。
アイ「炎ハ魂ノ息吹…」
貴『黒煙ハ魂ノ開放…』
アイリスの祈りに合わせるように、Aも歌うように祈りの言葉を紡ぎ始める。
茉「あれ、Aってもしかして…」
火「あぁ、アイツはシスターの資格も持っている。ただ本人の前線に立ちたいという希望の元シスターのではなく普通の防火服を用意したんだ。」
二人がそう話している間にも祈りは続けられる。
しかし一切動きのないAに一体どうやって鎮魂をするのかと、皆が緊張の面持ちで彼女を見つめた。
アイ/貴「『ソノ魂ヨ…」』
貴『"炎炎ノ炎二キセ"』
ぷちっと、糸が切れたような音がなった気がした。
ゴウッと焔ビトの炎が揺れると、彼はそのまま力が抜けたかように崩れ落ちる。
その体は、未だ燃え続けている。
けれど、なんとなくわかった。
…分かってしまった。
彼の、"生命の灯火が"消え去ってしまったことに。
貴『…ラートム』
Aが、ただの死体となりはてた体をそっと床に置き、静かに手を合わせた。
それに合わせ、森羅たちも手を合わせる。
Aはそのまま暫く手を合わせていたけれど、あまり長くては桜備達に迷惑がかかると思ったのか、最後に彼の炎を消して、お待たせしましたと笑った。
Aは、第ニ世代能力者。
基本的に他の能力者達と変わらず炎の操作を得意とするが、その中でも、彼女が得意とするものがあった。
…それは、炎の消火。
まるで、そこから消し去ってしまったかのように、彼女は炎を消火する。
生命の灯火すらも簡単に消し去ってしまう彼女は、まるで、生命を無情なままに刈り取る、死神のようでもあった。
森「(い、いや!アイツはそんなやつじゃねえだろ!)」
咄嗟に考えてしまった、自分の嫌な想像に森羅は慌ててブンブンと頭を横に降ってかき消す。
彼女が無情のまま人を殺すような人間では無いことも、彼女が死神のような恐ろしい存在でも無いことも、同級生である森羅自身が一番良く知っている。
………けれども。
"貴『お待たせしました。』"
そう、ニコリと、感情の読み取れない笑顔で笑った彼女に
ゾッと背筋が凍りついたことは、紛れもない事実だった。
森「(お前は、そんなやつじゃないよな…?)」
そう、先を行く彼女の背中を見つめても………
………やはり、何も感じ取ることはできなかった。
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ふたば(プロフ) - この作品とても面白くて大好きです!夢主ちゃんのスパダリっぷりに思わずキュンキュンしてしまいます笑これからも執筆頑張って下さい✨ (2021年10月25日 0時) (レス) @page50 id: 4559ad2a7b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2021年9月30日 18時) (レス) @page2 id: cc011a7ffe (このIDを非表示/違反報告)
陸(プロフ) - 色々ありますよね、大丈夫ですよ! (2021年9月20日 0時) (レス) id: 19eff5b33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:3度の飯より推しが好き | 作成日時:2021年9月18日 20時