第10話 笑顔の死神 ページ11
NOside
現場から立ち去ろうとA達が玄関を出た、その時。
パァンッ…！
勢い良く、平手打ちをした音が響いた。
一瞬、静寂が響く。
まだ消えきっていない炎の燃える音が、やけに大きく聞こえた。
奥「アンタの…！アンタのせいで！！！！」
貴『…………』
カンッとヘルメットの落ちる音がした。
消「な、何やってるんですか奥さん！！」
慌てて周りにいた消防士達が女性を押さえつける。
しかし女は彼らをかき分けるようにAへと手を伸ばしこの悪魔がと罵り続けた。
奥「私の親友と！娘と！！息子まで奪いやがって！！！許さない！！！絶対に許さない！！！」
この人殺しめ！！殺してやる！！殺してやると女は叫ぶ。
どうやらこの女性は昔親友と娘も亡くなっているらしい。
…けれど、それがなぜAのせいになるのか。
桜「落ち着いてください！ご家族やご友人を亡くされて悲しい気持ちは分かりますがそれはこの子のせいではないでしょう！」
奥「いいやそいつのせいだ！！そいつが綾果と海呼音を殺したんだ！！！
お前の周りではいつも人が燃える！！この疫病神！！！！」
森「そんなの、Aのせいでも何でもないじゃないですか！！」
女は青みがかった黒髪を振り乱し、垂れた目を見開いて叫び続けた。
奥「許さない！！！許さない！！！！！
いつもそうやって薄気味悪く笑いやがって！！！！」
そう叫ぶ女の指の先に、Aは何も言わずにただ立っている。
少しはお前も言い返せよと森羅が横を向いた瞬間、
ひゅっと小さく息を呑んだ。
森「A…」
彼女を見つめる彼女の顔が、まるで張り付いたかのように、全く感情の読み取れない
人形のような笑顔をしていたから。
貴『言い返す言葉だなんて、何一つねえよ。』
Aはそう答えると、張り付いた笑みのまま、踵を返してマッチボックスへと歩いて行った。
奥「血も涙もない死神が！！！お前だなんて生まれてこなければよかったのに！！！！
返して！！！返してよ！！！
私の子供たちを、私の、綾果を…！！
返してよぉ…！」
悲痛な叫びが悲しみの嘆きに変わり、崩れ落ちる女性とは売って変わり、
無言でマッチボックスに乗り込む彼女の表情はピクリとも動くことはなかった。
貴『……ごめんなさい』
彼女の小さな小さな謝罪の声は、泣き叫ぶ女性の声で誰にも聞かれることなくあっという間に掻き消えてしまった。
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ふたば(プロフ) - この作品とても面白くて大好きです！夢主ちゃんのスパダリっぷりに思わずキュンキュンしてしまいます笑これからも執筆頑張って下さい✨ (2021年10月25日 0時) (
レス) @page50 id: 4559ad2a7b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2021年9月30日 18時) (レス) @page2 id: cc011a7ffe (このIDを非表示/違反報告)
陸(プロフ) - 色々ありますよね、大丈夫ですよ！ (2021年9月20日 0時) (レス) id: 19eff5b33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2021年9月18日 20時
