【忍たま】あえて言うなら雨女。【トリップ】 (ページ9)

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6.5:前とは違う乱太郎side ページ9

また、天女様が来たと噂が入った。

容姿的には男らしかったのだが、女の服を着ていて、声の調子から女だろう。と、立花先輩は言っていた。

突如、事務室の場所を教えてほしいと言ってきたその人は、綺麗な青い瞳の男の人…いや、女の人だった。

綺麗な声で、前の天女とは違うような印象を受けた。

案内している途中

「…あの、名前を伺ってもよろしいですか…？」

私は興味本位で聞いてみた。

「私？私はA。水晶Aです」

被っているもので顔色はよくわからなかったが、ふわりとその人が微笑んだような気がした。

「あっ、着きました。ここです、事務室」

と、私が言うと、その人はしばらく事務室の看板を見つめたあと、しゃがんで私達と目線を合わせる。

綺麗な青い瞳が私達を見ていた。

「乱太郎君、だよね。それに貴方達も。案内してくれてありがとうございました」

と、相変わらず綺麗な声でその女の人は挨拶した。

その女の人が事務室に入って行ったあと

庄左ヱ門が

「もしかして、あの人が天女だったりしないかな」

と、顎に手を添えて言った。

「確かに、見たことない被り物被ってたし…」

と、伊助も言った。

「また、なんかしに来たんだろ」

呆れ半分できり丸が言う。

私は、あの表情から、悪い事をする人のようには思えなかったのだが、あえて私は3人と話を合わせた。

が、私にはあの人を天女と決めつけるには引っかかるところがあった。

それは、天女特有のあのきつくて甘い匂いがしなかったということ。

天女であれば、人を誘惑するほどのきつくて甘い匂いがするはずなのだ。

あの人からはその匂いを感じなかった。

逆に、優しくて暖かい匂いがした。

だとすると、あの人は本当に天女では無いのだろうか？

そんなことを言えるはずもなく、私はただ、あの人に降り注ぐ悪態を聞いていた。