【忍たま】あえて言うなら雨女。【トリップ】 (ページ7)

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5:雨女は働きたいページ7

着物の着方を教わり、あらかたここのことを説明された私は、色々なことを考えていた。

(うーん…、タダでここにいさせてもらうのもなぁ。なんか働きたい…し、天女さんのことも知りたいし…、やりたいこと沢山あんな〜)

そう思いながら、持っていたパーカーを着物の上から羽織り、フードを被って私は働き口を求め、なるべく周囲を警戒しながら部屋を出た。(なお、懐に防犯ブザー常備)

(とはいえ…どこへ行けばいいのかね)

フードを少し捲り上げてキョロキョロ辺りを見渡す。

すると、どこからかいい匂いがしてきた。

(食堂かなんかかな…？)

私はその匂いを頼りに足を進めた。

(…わ、食堂だ！)

そう思いながら少しだけ顔を出して様子を見ていると

「そんな所で何をしているの？」

と、気づかれてしまった。

「えっと…何かお手伝い出来ればな、って思って…。迷惑でしたら帰ります」

ゆっくり出てきた私に、中年の女の人は

「あぁ！貴方が新しく来た天女さんね？」

と、指さして言った。

「いや、天女違います」

私は即答で否定する。が、その女の人は笑って

「手伝ってくれるのかしら？」

と、話を逸らしてしまった。

「はい！」

と言って1歩、踏み出した瞬間

ぐぅぅ〜…と、私の腹の虫が鳴き声をあげた。

(うっ…そういえば、ここに来た時からなにもたべてない…)

すみません…と頭を下げると、ちょっと待ってて、女の人はそう言って食堂の中に行ってしまった。

しばらくして、おいでと手招きされる。

私は恐る恐る食堂の中に入った。

すると、目の前には沢山の食べ物が並んでいた。

「えっ…これ」

「貴女に、沢山食べて」

笑って言う女の人はすごく眩しかった。

「い、いただきます…！」

料理を1口頬張ると、なんとも言えない美味しさが口の中に溢れた。

「っ！」

ここに来てから初めてかもしれない。誰かにこうやって優しくされたのは。

そう思ったら、ぼろぼろと大粒の涙が出てきた。

「！？大丈夫？」

女の人はあたふたして私を見る。

バカ、どうして、ここに来て数時間しか経っとらんやろ、なんで涙が止まらんのや…。

なんて思いながら料理にがっついた。

そして私は、精一杯の笑顔で

「おいしい、ですっ…！」

と言った。