【忍たま】あえて言うなら雨女。【トリップ】 (ページ5)

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3:雨女、危機一髪ページ5

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「まさか、自分から天女ではない、なんて言うなんて初めてですわ」

ふふふ、とシナ先生は笑って言った。

「本当のことです」

私がきっぱり言うと、シナ先生は、やっぱり他の人とは違いますわね、と言う。

「あの、この際、敬語とかなくていいです。よそよそしいのは苦手なので。それに、私の名前、天女じゃなくてAですから」

と言うと、シナ先生は目を見開いて

「わかったわ。それじゃあ、この姿でいる理由もないわね」

そう言うと、ボン！という音と共に、煙が舞う。

「！？けほっ、けほっ…し、シナ先生…？」

私は辺りを見渡すと

「ふふ、Aちゃん、私はこっちよ」

ぐっと腕を引かれ、声の主が明らかになる。

「…え？ええと、シナ先生は…何処へ…？」

そこに居たのは、さっきのおばあさんではなく、綺麗な女の人だったのだ。

「あら、Aちゃん、私よ。山本シナ」

「！？」

私が呆然としていると

「あ、着いたわね。ここよ、今日からここが貴女の部屋。前の天女が使っていた部屋なのだけれど…」

と、申し訳なさそうにシナ先生が言う。

私は手と首を振って、いえいえ！と言った。

「あなたが持っていた物もここに置いてあるわ。私は着物を持ってくるから、この部屋で気をつけて待っていてね。すぐ戻ってくるから」

と言ってすぐにシナ先生は行ってしまった。

「気をつけて…か」

そう呟いて部屋に入る。

入った瞬間、きつい匂いが鼻をかすめた。

「ゔぉえ…」

これでも女かという声を出して私は吐き気を我慢した。

それでも、きつい匂いは一瞬で消えた。

部屋全体を見渡していると、隅っこに私のカバンがあるのが見えた。

「あっ」

思わず声をあげ、カバンの中を確認する。

そこには、音楽プレーヤーやスマホ、参考書などといったものが入っており、ごく普通だった。

スマホの電源を入れてみると、普通につく。

ゲームも普通にできた。WiFi着いてるし…。

時計も正常のようで、時刻は朝6時辺りを指していた。

「ん？」

ふと、スカートのポケットに触れると、何かが入っている。

取り出してみると、何かの御守りだった。

随分古いもので、なんて書いてあるのか読めない。

「なんの御守りかな…？」

まじまじと御守りを見ていたその時

ヒュッ

と、自分の後ろを何かが過ぎていった。

「！？」

過ぎていった"それ"は、部屋の1本の柱に突き刺さっていた。