【忍たま】あえて言うなら雨女。【トリップ】 (ページ22)

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15:雨女と不運男ページ22

「…ん」

目を開けると、天井。

鼻をかすめる薬品の匂い。

ここ、医務室か…。

そう思い、ムクリと起き上がると左手を誰かに握られている感覚があって、その手から視線をたどっていくと、最初に出会った、あの男の子。居眠りをしていた。

保健関連のなんかに入ってんのかな…？

左手をみると包帯が巻かれていて、少し血が滲んでいる。背中にも包帯が巻かれている感覚があった。

(手当てしてくれてたんかね…)

そう思いながらじーっとその男の子を見つめていると、うっすらと目を開けて、その大きな目が私をとらえた。

すると、その男の子はわっと泣き出して

「…気がついたんですね！よかった…、3日も眠っていたんですよ？」

と言われた。

「嘘、3日も…！？なんかごめんなさい…」

私はぎょっとして男の子を見る。

「いえいえ、でも良かったです…本当」

と言う彼の手は震えていた。

「…ありがとうございます」

さりげなくお礼を言うと、その男の子は微笑んでいた。

「それじゃあ、私もうそろそろ行きますね」

と言って着物に手をかけると

「あﾞ」

私のナベシャツがバッサリ切れていることが判明した。

しかも血まみれ。

「…どうしよ」

この世にはサラシというものがあったかなかったか…。

聞くに聞けねえ…。

何とかしようか…。そう思いながら着物を持って出ていこうとした時

「僕は信じるよ。Aちゃん、君が天女じゃないって」

と、後ろから力強い声がした。

私は振り返り

「ありがとう。えーっと…」

言葉の後に名前を続けようとして口ごもった。

すると、その男の子はクスリと笑い

「善法寺伊作、僕の名前」

と言った。

私もつられてクスリと笑い

「ありがとう、伊作」

と言って部屋を出ていった。