【忍たま】あえて言うなら雨女。【トリップ】 (ページ21)

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14.5:ごめんねの意味三治郎side ページ21

「ご、めん、ね…」

逃げている途中、そう呟くように兵太夫に言った天女さんは、申し訳なさそうに眉を下げていた。

僕は最初、どんな意味かわからずにただただ抱き抱えられて、忍術学園まで来た。

天女さんはゆっくり僕達をおろすと、

「よ、かった…！」

と言って、僕らの頭を撫でた。

しかも震えた手で。兵太夫は左に立っていたため、血がつかないように手の甲で頬を撫でていた。

その時、僕は悟った。

本当は、この人も怖かったはずなんだと。

山賊の持っていた刃物を素手で掴んだり、身を呈して僕や兵太夫を守ってくれたり。

前の天女ならこんなこと絶対にしなかった。

本当に、この人は天女なのかな…？

あの匂いも全くしない。むしろ

(暖かくて、優しい匂いだ)

僕はそう思った。

その時、

「入門表にサインを！…って、Aちゃん！？」

入門表を持って走ってきた小松田さんが、天女さんの姿を見てぎょっとした。

呂律が回らない口で、天女さんはごめんと言っていた。

「君達は、サインをしたら皆のとこに戻ってね」

と、小松田さんは天女さんに肩を貸し、医務室の方へ向かった。

僕らは入門表にサインをした後、皆のところに戻る。

「！兵太夫、その血…」

僕は兵太夫の服にべっとりとついた血を指さして言った。

すると、兵太夫は少し考えてあっと声を上げる。

「どうしたの？」

と僕が聞くと

「あの時、天女が僕に小さい声で『ごめんね』って言ったんだ…きっとこのことかな…」

あの時のごめんねの意味ってこういうことだったのか…。

「優しい人、だね」

気づけば僕はそう呟いていた。