【忍たま】あえて言うなら雨女。【トリップ】 (ページ19)

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13.5:この人は兵太夫side ページ19

僕は、三治郎と町に来ていた。

楽しく買い物をしていただけなのに、山賊に絡まれた。

「オラ！金目のものを出せ！」

僕達はあっという間に山賊に囲まれてしまった。

「うぅ…」

三治郎が目に大粒の涙を浮かべて泣き出してしまった。

「僕達、金目のものは持ってません！」

きっと睨んで言うものの、山賊には逆効果で

「んだガキ。殺されてえか？」

ギラギラした野心的な山賊の目に僕は何も出来なかった。

すると、後ろで三治郎の泣き声がして振り向くと、刃物を突き付けられ、今にも斬られそうな三治郎の姿があった。

「三治郎！」

僕は手を伸ばすも、山賊に捕まり身動きが取れない。

このままじゃ、三治郎が…！

と思いながら振り上げられる刃物を見ていた瞬間

その刃物の先は、白い手によって覆われていて

「…子供相手になにしてんの！」

山賊を睨みつけて、手のひらから血を滴らせている天女の姿があった。

山賊は強引に刃物を引っ込めると、天女の手のひらから血飛沫が飛んだのを僕は見逃さなかった。

天女は少しだけ顔を歪めると、僕達の前に立ち塞がるように立ち、山賊達を睨んでいた。

さっきの手の平から指先をつたって血が溢れ出ている。

「威勢のいい女は嫌いじゃねえぜ？」

と言った山賊のひとりが、歩み寄るなり天女を殴った。

天女は少し目を見開いてまた山賊を睨んだ。

ぺっとその辺に口の中に溜まった血を吐く。僕は目を覆いたくなった。

が、

「私を血祭りにあげるのはいいけど、この子達に手を出したら許さないから」

掠れた声で天女はそう言った。

前の天女なら、見捨てていたはず。

なんなら傷つく僕らを見て嘲笑っていたはず。

それなのに、この人は…。

僕だけじゃない、三治郎も助けてくれた。

背中を斬られながらも、僕らのことを気にかけていた。

そして今

「私に任せて」

血まみれになりながら笑っている。