【忍たま】あえて言うなら雨女。【トリップ】 (ページ2)

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プロローグ:今日も今日とて雨女ページ2

私は、大学入試の帰り、お母さんとバスに乗っていた。

ふと、窓越しに過ぎていく景色を眺める。

さっきまでの快晴は、暗い雲によって掻き消され、雨が降っていた。

しかも土砂降り。

「雨だ」

ぽつりと呟くと、お母さんは

「A、あなたのせいじゃないわ」

といつも言う。

「分かってるよ」

と私は苦笑いをお母さんにしてみせる。

というか、雨が降る原因は皆が皆私のせいという訳では無いと思う。

そんなことを考えながら景色を眺めていると

《次は、終点ー、○○、○○でございます》

と、バス内にアナウンスが流れる。

しかし、肝心の目的地の所にノイズが流れて聞こえない。

「あら？終点は駅のはずよね…？」

お母さんは首を傾げて私を見る。

「うん、そのはず…どうして…？」

どこへ向かっているのか確認するため、窓の外を見る。

しかし、外は何も見えなくて

「どういう、こと…？」

私は思わず声を漏らす。

すると、耳元で

「お願いします、助けてください…！」

と、懇願する子供の泣き叫ぶ声がした。

「！？」

思わず後ろを振り返る。

そこに、私の知っているお母さんの姿はなかった。

「…え？おかあ、さん…？」

気づけば、バスの中には私以外、誰もいなかった。

「…まって、落ち着かなきゃ、落ち着かなきゃ…」

そう言いながら自分に言い聞かせていると

「お主の力を、貸してくれぬか？」

不意に、バスの天井から声が聞こえた。

ふと上を向いた瞬間

目の前で閃光が走る。

私は思わず目を閉じた。

そこで、私の意識は途絶えた。

ただひとつ、聞こえたのは降り頻る雨の音だった。