ヒロインになりたい。 (ページ1)

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わたしのヒーロー（Sota.U）ページ1

誰もいない静まり返ったオフィスでため息を吐く。

残業を終えて夜22時。

自分の仕事の効率が悪いのか、周りの同僚と上司に恵まれてないのか。

自分では前者だと思いたい、いや、

思わないとどうにかなりそうだ。

社会人2年目、段々と仕事を任され始めて、後輩も入ってきて。

周りから「この資料作成お願い」「あのデータ明日までにまとめておいて」など。頼られてるのかこき使われてるのか。

昔から断れない性格上、連日この時間まで残業してる状態。

それでも気にかけてくれる上司、先輩もいる。

どうせ明日もまた出社したら残業時間やばいから定時で上がれ、と注意されるんだろうな。
まあこれも上の目を気にして、の声掛けだと思うけど。

業務時間内に終わらなかった仕事を今日もこなしてパソコンの電源を落とす。

デスクの上を軽く片付けてマグカップに少し残っていたコーヒーを流し込む、すごいぬるい。

いつからだろう。人に頼ることが出来なくなった。
正確には人に頼るくらいなら自分でどうにかできる、
人に頼って断られるくらいなら自分でどうにかする。

まあこれも自分の性格の問題だと思う。

眠気も怠さも、最近の外と室内の温度差か、疲労か原因分からない頭痛も酷くなってきてる。

このまま人生過労死するのかな、なんて嘲笑いながら引き出しの中に常備してる頭痛薬を飲む。

鞄を肩にかけて立ち上がろうとしたら手に持っていったスマホが鳴った。

ちらっと表示されてる名前を見る。

こんな時間になんの用だ、どうせくだらないことだろう。

…でもなんとなく今は電話に出たくない。話したくない。

オフィスを出てエレベーターのボタンを押す。

窓の外はもう真っ暗で、反射で映る自分の姿に失望する。
髪の毛は巻きが取れてボサボサ、まともにご飯も食べてないから変に痩せた身体。顔は酷いと思うけどマスク社会だから。

女としてどうなんだ…なんて思いながらエレベーターが上がってくるのを待ってるけど。

それでも鳴り止まない着信音が静かすぎるオフィスにはうるさくて。

仕方なくスマホの通話ボタンを押した。