ヒロインになりたい。 (ページ15)

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「ねえ離して」

「むり離さない」

何があったの、って心配そうな顔をしてわたし顔を覗き込む

……この男、ほんとにわかってないのだろうか

天然で、抜けてて、それに増して鈍感

「なんでもないって言ってんじゃん」

「…もういいよ、てか合コンなんて参加して、湧くんとうっちーくんに気に入られちゃってさ」

「別にいいじゃん、彼氏もいないし？元木くんも内村くんもかっこよかったな」

「…………」

強がって、反抗してみたけど。
竜生は黙ったままだ。

「…てか竜生、忘れられない人がいるんだ」

さっき元木くん言ってたよね？

「それは、」

この際、思ってることこのお酒が入ってるうちに言ってしまう

「私と付き合ってた時もその子のこと忘れられてなかったの？」

そう言うと目を見開いて真剣な顔になる竜生

「ちが「もういいよ、私も忘れる。私から振ったのに重くてごめん、もう諦めるから大丈夫」

もう、、ここまで言っちゃったら口は止まらなくて。

「昔も今も………

竜生のこと、すきだった」

「………え？」

「ごめん、驚かして、私から振ったのにおかしいよね」

もう忘れて、酔ってるだけかも、と竜生に向かって言って駅の方向に歩き出す

これでもう終わりか……本当に諦めないとな。

さっき枯らしたはずの涙が溢れそうになって必死で堪える

すると後ろから早い速度の足音……

その瞬間、「なあ、勝手に言って帰るのずるくね？」

と後ろから懐かしい匂いに包まれた

「ま、まって、なにしてんの竜生」

「こっちのセリフ、なんで振ったんだよ」

「…え」

「なんで俺の事振ったの、嫌いになったんじゃないの」

「…ちがう」

「てか俺今もずっとAのこと好きだし、忘れるために他の子と付き合ったけど無理だった」

「………え」

信じられない、え？何言ってるの

「マジだって、信じてよ」耳元で少し掠れた泣きそうな声

「……でも忘れられない子がいるって」

「それAの事だよ」

「まじでずっと好きだった、いや今も好き」

「…もう一度俺と付き合ってくれませんか？」

そんな事、ずっと好きで、堪らなく愛おしくて

だいすきな彼に言われたら首を縦に振るしかないじゃん

fin.