愛、屋烏に及ぶ3【SERVAMP】

96話その後 ページ3

真昼「翡翠さん、桜哉に会えたのかな…」

俺とクロは彼女を探していた。
桜哉が学校を離れる前に背中を押したつもりだけど、二人はちゃんと話し合えただろうか。

とりあえずクロの提案で、クラスへと向かうことにした。

クラスの出し物である喫茶店は午後も繁盛しており、一部人集りができている。
その隙間で金色の髪が目に入った。


「はーい！列に並んで順番を待ってくださいねー」

「メイドさん表情が固いよー
もう少し笑ってみて！」

A「こ、こうですか？」

「うーん…むしろ怖くなったかな…」


クロ「いた。けどなんか囲まれてねーか？」

そこにはメイド服を着た複数のクラスメイトと翡翠さんがいた。
クラスで写真撮影を行う企画はなかったはずなのだが、クラスの誰かが金儲けのために内密に進めていたのだろう。

先生に見つかったらどやされるんだろうな…。

すると翡翠さんと目が合い、こちらに気づいた翡翠さんはクラスの女子とお客さんに頭を下げて謝っていた。

クラスの女子は心底がっかりしたような顔をしていたが、俺が来るまでの約束だったのか渋々と頷いた。

彼女からは疲労困憊の様子が見られた。

A「城田君おまたせ。
私も城田君を探してたんだけど、途中で捕まっちゃって…」

真昼「そっか！大丈夫だよ…
それ、着てくれたんだね」

翡翠さんは裾を小さく摘んで、メイド服を見せてくれる。

A「城田君のおかげでたくさんの人から褒めてもらえたよ。
私も結構楽しかったし…し、城田君はどう思う？」

なぜか、翡翠さんの表情は緊張気味だ。
クロも「気の利いた言葉を選べよ」なんて耳打ちしてくるものだから話がみえてこない。

翡翠さんは元がいいし、何を着たってきっと似合ってしまうのだろう。

だから俺ははっきりと「すごく似合ってるよ」と言ったんだ。

A「……うん！ありがとう」
(まあ、城田君ならそう言うよね。脈ナシっと…)

クロ「おまえって本当に乙女心を知らない奴だな」

真昼「さっきから何なんだよクロ！」

俺、なんか変なこと言ったのか？
そうだ、肝心なことを聞くのを忘れた。

俺が口を開く前に翡翠さんは察したのか、ニッコリと笑った。

その時、脈が大きく打つ感覚を覚える。

A「もう大丈夫。
仲直り(・・・)してきたから」

彼女があまりにも優しい顔をするから。

そうこうしているうちに、翡翠さんの周りにまた人が集まってきたため一旦制服に着替え直すことになった。



今のは…。

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