0話一冊の小説 ページ1
全てが灰色だった。
親に強いられた勉学や稽古に励めど、何一つとして私の心を満たすものはない。
興味も無い本を開き、ひたすら読んで
鳥籠の中に囚われたような生活。
味気なく、退屈な人生。
ある日、一冊の小説を手にした。
齢7つという子どもには少々内容が難しい代物だ。
ただ、その時は読んでみたいと思ったのだ。
何の脈絡もないその気まぐれが読書をする意欲を湧かせた。
その本は青春恋愛もので、主人公は女子高校生であり相手は他クラスの男の子。
恋に落ちた者の悩みや心の葛藤、行動がよく書かれていた本だった。
まさに、『恋』と『愛』について語る感動物語。
最初は夢中になって話にのめり込んでいたが次第にその熱も冷めていく。
最後まで一読したものの、登場人物への感情移入も共感も出来ない。
全く面白くなかった。
やはり幼い私には早かったのだろうか。
結局、
しかし、その小説には考えさせられるものがあった。
『恋』という一方的で盲目的なもの。
一見綺麗なようで、扱いを間違えてしまえば麻薬にもなる危険な感情。
しかし、男女の『恋』は不思議なもので
家族愛でもなければ友愛でもない。
赤の他人である異性に好意を示し、不確実な繋がりを求めようとするのか。
どうして人はそれを『運命』だと言うのか。
『恋』も『愛』も知らない私には到底理解出来ない。それがとても不思議で不気味なように思えた。
だが、これらは1人の人間を劇的に変化させる力があるのは確かだ。
(いつか、わたしにも好きな人ができるのかな…)
そうすれば…。
窓越しに見える雪景色を眺め、ふと窓ガラスに反射する自分を見る。
そこには深海の様な暗くて濁った青い瞳、光を一切感じさせない冷たい眼差しをした子どもがいた。
目を瞑り、二度と手にすることはないであろうその小説をパタリと閉じる。
今となってはその小説のタイトルも、どんな色の表紙だったかも思い出せない。
そういえば、彼らが大人になった後の物語もあった。
どんな結末を迎えたんだっけ。
…いや、そんなことはどうだっていい。
あの頃は、何もかも絶望していて未来なんて見えていなかった。
もし、過去に戻れるなら伝えてあげたい。
___私にも好きな人ができたよって。
彼との出会いが私の始まりだった。
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ナタデココ(プロフ) - 夢主の本性がどのようにバレるのか､果たしてバレないのか、今から楽しみです！！ (2016年9月13日 21時) (
レス) id: 67a39a2c5a (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー(プロフ) - 黒乃栖+眞姫那@虚飾.og66661akasim.liarさん» コメントありがとうございます！更新停止の予定は無いのでご安心下さい^_^ただ、学生であるため土日の方が多く更新することがあります。とても励みになりました！これからも頑張りますね( ´ ▽ ` )ﾉ (2016年9月10日 9時) (レス) id: a1258340ec (このIDを非表示/違反報告)
黒乃栖+眞姫那@虚飾.og66661akasim.liar - とっても面白かったです！更新頑張ってください!!応援しています!続き待ってます！更新停止だけはやめてください…！ (2016年9月9日 23時) (レス) id: 1536a576c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レモンティー | 作成日時：2016年7月25日 13時
