【霧野蘭丸】優しさだけじゃたりません*゜ (ページ8)

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先　輩。 8 ページ8

霧野side

「せ、せんぱ･･･い。
やめてっ･･･下さいよ」

「優しくするってどういうことだ？」

天野の言いたいことが、俺には分からない。
君が何にもどかしさを感じているのか。

「ばかですか？
男ならもうちょっと考えてよ!!」

「考える？」

「あーもう！
めんどくさいなぁ先輩!!」

天野は俺の側から離れて、
椅子に隠れた。
しかも怒られた･･･。
めんどくさいのか、俺は。

「もうはっきり言えよー」

「え！？
わ、分かりましたよ!! 馬鹿な先輩のために教えてあげますよ」

天野は立ち上がって、
恥ずかしそうな顔をしながら口を開いた。

少し天野に近づく。

「サッカー選手っていつも疲れるじゃないですか」

「まあ、な。
そりゃあ体をすごい動かしてるし」

「マネージャーはドリンクを作ったりタオルを配るだけってのは、
ちょっと私嫌なんですよ。選手と同じくらい努力しなきゃいけないし」

真面目だな。
前から思ってたけど。
こんなに真剣に考えていたのか。

「もっとマネージャーを頼ってほしい。
やれることなら出来るだけやるし、相談にも乗ります」

「剣城とか三国先輩の相談には乗ってただろ」

「そうです。なのに霧野先輩は全く相談しない!!」

キッと睨まれる。少し驚いて後ずさりをした
俺は女に相談する趣味じゃないんだけど･･･

「お願いします、先輩。
もっと頼ってください。じゃないと精神的に疲れてへばりますよ」

こいつの言いたかった意味が、何となく分かった気がする。
今こいつが話してる説明は、素直じゃないけど。

　『私に本当の先輩を教えて下さい』

そう言ってるように感じた。
こんな風に思ってたのか。

だから、優しくしてもこいつには何も効果がなかったのか。

「へえ、分かったよ。
じゃあ早速相談に乗ってほしいんだけどいいかな？」

「えっ本当！？
勿論です･･･勿論ですよ!! 聞かせてください」

俺の方によってくる。
天野は表情がパッと変わって明るくなった。

思春期男子の俺はおかしいのか、
どうもこいつの笑顔が“可愛い”と感じてしまうんだ。

「キスさせろよ」

「･･･は？」