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「いつまでそうしてるつもりだ。お前の部屋に帰れ」




ウルドは自室の端で体育座り宜しく丸くなっている人間へと冷たい視線を送る。


深夜にも関わらず、数時間前に突如転がり込んできた彼女は顔を埋めて座ったきり微動だにしない。


大して返答をする気配もないAに呆れ、仕方なしにわざわざ椅子から腰を持ち上げたウルドは膝を折って様子を確認する。




「………聞いているのか」




肩に手を掛けて軽く身体を揺さぶる。


すると彼女はあろうことか、反対側へと倒れかける。


さすがにまずいと思い、腕を掴み引き寄せた。
腕に小さな身体を抱き止めたウルドは今度こそAの様子を伺うと、小さな寝息を立てて寝入っていた。
どうりで返事がない訳だ。


少しあどけなさが残る寝顔。


数時間も隙間風が通る部屋の端で寝ていたAの肌は少し冷たく、これでは保護者の吸血鬼に口うるさく小言を言われてしまいそうである。


放っておくと後々が面倒と判断したウルドは彼女をカウチソファに寝かせ、その上に自身のジャケットを乗せた。


これで多少はマシだろう。








その後、時計の音だけが規則的に鳴るこの静かな部屋で仕事をしながら"保護者"を待ってみたが、待てど暮らせど彼は一向に現れる気配がない。


Aが転がり込んできたのはもう数時間以上も前のことだ。


さすがに彼女をそんな長い間放置しているというのも可笑しな話である。


Aが成長しても過保護の抜けない吸血鬼は視界の端に彼女が居なければ、そわそわとどこか落ち着きのない様子を見せる。


それが仕事中であろうが、吸血鬼にとって極めて重要な上位始祖会であろうがお構いなしだ。


一定の時間を過ぎると早く会議が終わらないかとはやる気持ちを押さえられなくなり、彼の指先は机を叩く。
敏感な吸血鬼の耳にとって耳障りなことこの上なく、他にも挙げればきりがない。
とにかく彼がそわそわと落ち着きのない様子を見せ始めると気が散ってこちらまでイライラとしてしまうほど。


そんな彼がAを探していない。



きっと以前の騒ぎのように二人の間で何かしら起きたのだろうと結論付け、ウルドは席を立った。


世話の焼ける弟へ直々に話をつけてやろうではないか。

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こんぺいとう(プロフ) - ぽっぽさん» ありがとうございます!新しいものはあと一週間くらいで公開できるかと思いますので、もう少しお待ち下さい〜! (2021年1月21日 20時) (レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぽ(プロフ) - おもしろくて勢いよく読みました!!!続きが楽しみです! (2021年1月20日 9時) (レス) id: f5136f3fcb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2020年11月8日 21時

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