甘いモノはほどほどに（アスクレピオス） ページ11
「なんだ、それは」
地を這うような低い声で彼は問う。
美しいかんばせを顰めながら、鋭い眼差しで私の手元を射抜いた。
「キャンディだけど？」
「そんなことは見ればわかる。僕が聞きたいのはその散らかったゴミのことだ」
マイルームの扉を開けた途端、惜しみなく嫌悪感をあらわにした彼──アスクレピオスは、ゴミが散乱するテーブルにつかつかと歩み寄った。
彼が忌々しそう見つめるそのゴミとは、色鮮やかでポップな絵柄をしたキャンディの包装紙である。他にも、チョコレートやクッキーなど、机上には様々なお菓子の包装紙が積み重なっていた。
恐らく彼も、ここに来るまでの間に飽きるほどお菓子を見てきたのだろう。
何を隠そう本日は十月の最終日、ハロウィンなのだから。
もちろん、私ひとりでこの量を平らげたわけではない。先程まで、ナーサリーやジャックたちと一緒に食べていたのだ。
そう説明すれば、彼は「太るぞ」と冷たい一言を浴びせてくる。そういうことを年頃の女の子に面と向かって言うなんて酷い人だ。もう慣れたけれど。
「すぐに片付けるから待ってて」
せっかく足を運んでくれたのに、部屋がこの有り様ではさすがに申し訳ない。急いで席を立ち、役目を果たした紙切れたちをゴミ箱へ詰め込む。
すると、一連の動作を静かに見つめていたアスクレピオスが、唐突に呪文を唱えた。
「トリック・オア・トリート」
今日だけで何度も聞いた魔法の言葉。
「え？」
「今日はハロウィンなんだろう？」
「ごめん、今食べてるやつで終わりなんだ……」
口内で溶けるキャンディの甘さに、少しだけ罪悪感が滲む。
まさかこの男がそんな台詞を言うとは思わなかった。
渡せるお菓子はもうない。取り引きは不成立。つまり、大人しく悪戯をされるしかない。
しかし彼のことだ。ただ言ってみただけだろう。悪戯なんてしないはず。
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カオスちゃん - やばい、、、最高ですO(≧∇≦)oこれからも無理しない程度にがんばってください！ (2020年2月28日 11時) (
レス) id: 0590ce9a8b (このIDを非表示/違反報告)
星良(プロフ) - にょるとさん» ありがとうございます！！そう言っていただけてとても嬉しいです……！！更新がんばります(っ `ω´ c) (2020年2月18日 22時) (レス) id: 84ce28e35f (このIDを非表示/違反報告)
星良(プロフ) - カオスちゃんさん» お返事が遅れてしまいすみません。2回目のリクエストありがとうございます！早速書かせていただきますね！ (2020年2月18日 22時) (レス) id: 84ce28e35f (このIDを非表示/違反報告)
にょると(プロフ) - 貴方のような人を待っていました！！(誰)最高でした…もし良ければ私も書いてますので宜しく御願いします…素晴らしかったです。。更新待ってます。 (2020年1月6日 3時) (レス) id: ac6d2afe74 (このIDを非表示/違反報告)
カオスちゃん - 続けてリクエストごめんなさい！ドクターとマーリンで取り合いお願いします(^人^;) できればマーリンエンド、ドクターエンドお願いします(^人^;) (2019年11月7日 12時) (レス) id: 0590ce9a8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星良 | 作成日時：2019年8月17日 19時
