＊キラキラ王子様＊ (ページ29)

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だってあのスーツ姿。薔薇の花束。まるで王子様。

私もいつもよりは綺麗にしていたし、うう･･･あの瞬間を私は一生忘れない。

今、少しラフに着崩した白いシャツの雅紀兄も最高にかっこいい。

黒いワンピースの私と、白いシャツの雅紀兄･･･。

いいんじゃない？うん、最高にいいんじゃない？

・

そう思ったのに、ふと見た自分は着古したパジャマで。

毛玉だらけで。

A「なんで！ワンピースは！？」

雅「苦しそうだから脱がしてパジャマにしたけど？」

A「マジで！台無し！」

雅「いいじゃん、俺はAのパジャマ姿も可愛いよ？」

A「･･････ううっ･･･その笑顔ズルイ･･･。はっ！え！？着替えさせた？え？ええ？もしかしてもしかして雅紀兄が！？」

雅「？そうだよ？」

A「えーーーーーーーっ！」

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私の叫び声が、愛すべき我が家に響いた。

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「ふふ・笑」

「お母さん、なぁに、思い出し笑い？」

「いやさ、昨日の朝の雅紀を思い出しちゃった」

「･･･あぁ。驚きましたね、朝起きたら居間で正座してるんだもの」

「不義理してすみません、Aを愛してます。だもんねぇ・笑」

「こっちはとっくに気づいてるっていうのにねぇ？笑」

「普通の兄妹であんなにくっついて仲良かったらおかしいでしょうよ笑」

「まるで戦場に行くみたいな顔しちゃって･･･」

「まぁ実際、今夜は戦場行くつもりでホテルに乗り込んだんでしょうよ」

「････あの子はさ、私達に拾われて救われたとでも思ってるのかもしれないけれど･･･」

「違うのにね。あの子の明るさと賢さと優しさが、女３人をどれだけ癒して支えてくれたかしらねぇ」

「Aはさすが、私たちが育てた女だね」

「いい男を知ってるものね」

「お爺さん程のいい男になるよ、雅紀は」

「あら、あの人の方がいい男ですよ」

「ふふ・笑」

「ふふ・笑」

「････今日はいい日になったねぇ･･･」

「ねぇ？雅紀の２９歳はきっと素敵な毎日ですよ」

「忙しくなるね」

「ですね、白無垢も出しておかないと」

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お婆ちゃんとお母さんの楽しそうな穏やかな笑い声が居間から聞こえてきて

私と雅紀兄は手を繋いだまま、笑った。