そんな運命力尽くで捻じ曲げてやる。section.4【進撃の巨人】 (ページ17)

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その男は放っとけば死ぬだろ、とか。折角だし、女の方は楽しんでからにしようか、とか。何やらぶつぶつ話してる奴らの声が、やけに耳に響く。こいつらにとって、人を殺すというのはただの作業で、命の価値とかそんなもの知ったこっちゃないんだ。

『(なら、アタシも気にする必要無いよな)』

怒り、憎悪、恨み。どれも当てはまるようで当てはまらない。こいつらは、生かしておいてはいけないという義務感。と言った方がしっくりくる。気が付けば、アタシは血の海の真ん中で呆然と佇んでいた。

『…こんなもんか』

状況をきちんと把握して、出た最初の言葉は、自分でもびっくりするくらい何の感情も乗っていなかった。騒ぎを聞いて駆け付けた憲兵は意外と優秀で、仕事が早かったのを覚えてる。あれよあれよと、アタシとエルヴィンは病院に運ばれた。

その日からアタシは、誰にも負けないように。もう怖気付かないように、ひたすら自分を鍛え上げた。

「(だけど、どれだけ体を鍛えて強さを手に入れても)……病には勝てねぇなぁ…」

霞む視界の端で、天井や壁に亀裂が入るのが見える。後少しでここは崩される。そしたら、巨人共はアタシの事を食べるだろう。否、その前に瓦礫に潰されて死ぬか。

(何だかんだで)
(やりたい放題やってきたんだ)
(今更悔いる事は無い)