そんな運命力尽くで捻じ曲げてやる。section.4【進撃の巨人】 (ページ16)

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たったの数分で、アタシとエルヴィン以外は死んだ。殺し屋共は、強そうか否かで殺す順番を決めていた。巨人よりずっと小さいはずなのに、何倍も大きく見えるのは、格の違いだろうか。息が詰まる。足が竦んで動けない。人に殺される瞬間を、初めて見たからか。アタシよりもずっと体格が良くて、手練の幹部が、あんなあっさり殺されたからか。

この日初めて、アタシは怖気付いた。それも、自分と同じ人相手に。

『A！気をしっかり持て！』
『(こんなの…まだ、、巨人相手の方がマシだ…)』

立ち竦んでるのを見て、次の標的はAになった。ナイフを持った男が、迫って来る。早く動かないと、アタシも死ぬ。頭では分かっているのに、身体がついてこない。どんどん距離が縮まって、あと数歩でナイフが届く範囲に入った。直感的にダメだと思って、ぎゅっと目を瞑る。

しかし、どれだけ待ってもなんの痛みも衝撃もこなくて。代わりに低い呻き声が聞こえて、目を開けると、アタシより遥かに大きい背中が倒れ込んできた。

『っ！エルヴィンっ！！』
『無事か…？A、』
『何言って……お前…』

早く病院に連れて行かないと。刺された所は致命傷じゃない。止血さえすれば助かる。でも、アタシ1人じゃ連れて行けない。なら、医者を呼んだ方が早いか。目の前の現実から目を背けるように、色々な考えが頭の中をぐるぐるしていた。

(どっちにしても)
(まずは男達を倒さないと)
(どうにも出来ない)