愛し君 ページ19
小さな口で必死にカレーを頬張るその姿に、
なんとも言えない感情が湧いてくる。
愛おしい、だなんて。
こんな感情を抱く日が来るなんて､到底前の僕には想像すらできなかったことだろう。
愛おしくて堪らない大切な人。
辛い記憶も過去も全部消せれば楽にしてやれるのに､まぁそんな事をしてもAが傷つくだけだと思うけれど。
でも、新しく辛い記憶を作らないようにする方法ならある。
「なぁ、A｡センラからお願いがあるんです。」
「はい、なんですか？」
カレーを食べ終わり、食器を置きに行こうとしていたらしくきょとんとした顔で振り向いた。
「今から言うことを全部守って欲しいんです｡」
じっと見つめると戸惑った様な顔をしながら
深く頷くと、僕の前に座った。
「一つ目ね、勝手に神社からでない事。
まずここは結界が貼られてるんです｡でも外は違う、小物の妖もいるし僕を憎む奴らも多い、
だからAが狙われるんです。だから、無闇矢鱈と外に出ない事！」
「二つ目、ご飯当番は交代制で行う事！
材料も好きに使ってええし､僕基本好き嫌いないんでまぁ適当でええからね、ご飯作ってくれると嬉しいです。」
「三つ目、絶対に死なない事。Aがいなくなるくらいなら僕も消えますからね。」
悲しげに憂いを帯びた顔をするから、
首に手を回してその体をそっと抱き寄せた。
「約束事はちゃんと守ります。だから、私がいなくなったらセンラも消えるなんて嫌です。
もう大切な人を亡くすのは嫌､なの。」
「Aの事は僕が絶対守るから｡
Aがいなくならない限り僕も消えません。それに、もしもの話やから今はきっと大丈夫｡」
ね？と同意を求めるように問い掛けると、
彼女が僕を抱きしめる力はより強くなった。
きっと今は大丈夫｡
そう思いながら僕は彼女の頭を撫でた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
来夏_raika(プロフ) - 心愛さん» コメントありがとうございます！更新頻度はかなりゆっくりめですが楽しんで頂ければ幸いです〜！これからもこの作品をどうぞ宜しくお願い致します；； (2018年12月5日 21時) (
レス) id: 4db2d60ea2 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - 更新楽しみに待ってます！ (2018年12月4日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：raika | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/seyu/
作成日時：2018年8月26日 23時
