急展開とはこのこと ページ8
「てことで、次の試合まで放課後行けそうになくて」
「いいよ、仕方ない」
「すみません」
「ゆっくり描いてけばいいし」
5時間目と6時間目の間の休憩時間。
先生にマネージャーになることを伝えに準備室へ。
「大変だろうけど、頑張ってね」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあ、コレあげる」
「レモンのアメ」
「A、頑張り屋さんだから。先にご褒美」
「ふふ、嬉しいです」
名前呼びも嬉しいし、アメも嬉しいし。
頑張れる、私。
「じゃあ、そろそろチャイム鳴りそうなので」
「うん」
休憩時間、短すぎる。
それでなくても先生との時間が減ったのに。
「あ、そうだ」
「え？」
先生の声を聞いて後ろを振り向けばもう目の前に来ていた。
先生は両手をドアにつき、私を挟む形で見つめてくる。
…所謂壁ドンというやつ。
「せんせ？」
「ん？」
「ち、近くないですか？」
「そう？」
「…はい、」
ドアと先生の間に挟まってる私。
ちょっとでも動いてしまうと先生に当たってしまうぐらいの近距離。
「…あ、あの、チャイム、鳴りました…よ？」
「鳴ったね」
「私はどうしたら？」
「サボっちゃおっか、先生と」
「へ？」
心臓出る！
口から心臓出る！
和に言われたのに…近づいちゃだめだって言われたのに。
「せ、んせ…」
「A、可愛いね」
「何言って、」
「耳まで真っ赤だよ」
「…先生、キャラ違う、」
「ん？俺もオトコだからなぁ」
なんて耳元で囁かれてますけど。
「…あ、あの、」
「せっかくAと放課後デート出来るのに残念だなと思って」
「デートって、」
「みんなして邪魔するんだから」
ほんっと耳元で囁かないで…私の心臓が。
「俺が先生じゃなきゃなー」
「先生じゃなきゃ、なんですか？」
「それ聞く？」
「聞いちゃだめでしたか、？」
「だめ。俺が先生でいられなくなっちゃうから」
先生でいられなくなるってどういうこと？
…それは、期待してもいいってこと？
いい風にしか解釈できないよ、先生。
「あの、」
「なーんて。困っちゃうよね」
「困らない…です！」
「ふふ、期待しちゃうじゃん」
「…していいです、」
「悪い子だなーAは」
「悪い子、ですか？」
「うん、悪い子。先生をたぶらかして」
「た、たぶらかすって、」
「Aが悪いからね」
「え…、」
気付いた時には時すでに遅し。
先生の唇は私の唇を塞いでいた。
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作者名：浅井 | 作成日時：2019年3月2日 12時
