メロンパン ページ3
「であるからして、ここの動詞が、」
4時間目、古文。
眠たい…とにかく眠い。
早く放課後にならないかな。
「なぁ、」
「ん？」
「なんかあった？」
「何が？」
「大野と」
「へ？別に、何も？」
「あっそ」
和は鋭い。
私は普通を装ってるつもりでも、たぶん放課後のこととか気になっていつもと違うんだと思う。
それをいつも一番にキャッチするのは和。
「今日放課後、」
「あ、私、ちょっと用事あるの」
「…用事って？」
「えと、あー…」
「はい、A。答えて、ここ」
「え？！ちょ、どこ？」
「イチャつくのは結構だけど、今授業中」
「イチャついてないっての」
…みんなから笑い者にされる私。
こういうときも、いつも当たるのは私、和は知らん顔。
ずるい。
「和のせいだよ」
「知らね」
「ひど」
「お前、もうすぐチャイム鳴るよ」
「だからなに」
「メロンパン」
「あ！忘れてた…ダッシュかー」
「絶対買ってこいよ」
「はいはい」
チャイムが鳴るまであと2分。
「一個でいいよね？」
「うん」
あと1分。
とりあえず、そろっと机の上を片付ける。
キーンコーンカーンコーン
「鳴った！」
「じゃあ、今日はここ…A！」
「佐久間ちゃん、ごめん。メロンパン買ってくる！」
とりあえずメロンパンを買うため、3階から1階までダッシュ！
「えーもうこんなに人が、」
ゼーハーなりながら人混みに突入。
メロンパンはまだ何個かある。
あと少しで手が届く…はず、
「メロンパン？」
「翔ちゃん」
「俺も買うから、ついでに買ってあげる。あっちで待ってて」
「あ、ありがと」
翔ちゃんは雅紀の、あ、雅紀はバスケ部エースの相葉雅紀で今日の朝スリーポイント決めたって私が嬉しそうに話してたやつで、翔ちゃんはその雅紀の友達で仲良くなった人。
和とも気が合うみたいで仲良くしてる。
「はい、メロンパン」
「ありがと。ほんとありがとう」
「ニノ？」
「うん。朝、私の好きなお菓子買ってくれて、そのお返し？みたいなもん」
「Aちゃんも大変だね」
「まぁいつものことだから」
翔ちゃんぐらいの優しさ、もうちょっと和にもあったらいいんだけど。
「じゃあ、俺こっちだから」
「うん、ありがとね」
翔ちゃんに買ってもらったことは内緒にしとこ。
絶対ブーブー言うもん。
「はい、どーぞ」
「ご苦労」
「ほんと大変だったよ」
「いい運動になったじゃん」
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作者名：浅井 | 作成日時：2019年3月2日 12時
