それなりに好きなふたり (ページ6)

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先生 said ページ6

なぜか、今日は飲みたくなって夜の街を歩いていた。

俺、ストレスでも溜まってるんかな？

その帰りだった。普段は通らない道にある公園から聞き馴染みのある声が聞こえてきた。

「まさか！」

こんな夜中に何かしてるんやろか。あいつは。

でもそれ以上にその歌声が、心に響いて…

近くで感じたい

そう思った。

「お前…」

『ん？先生じゃん笑』

やっぱり、あいつだった。

この世で1番大切にしたい人。

『どうしたの？こんな時間に』

「それは…」
こっちのセリフやろ…

そんな言葉が浮かんだけど、今はそういうことじゃない気がした。

「ギター、弾けるんや…」

『うん。中学のときにギター弾けたらカッコイイなーって思って。家にたまたま会ったから弾き始めた。』

「ふーん。実は俺も弾けたりするんやけど。」

『ぽいよね、先生。だって時々エアギターしてるし。』

見られてたんかー。

ちょっと恥ずい…

「今度、聞かせたるわ。」

『おう。楽しみー』

しばらくの沈黙が続く。

『補導、しないんですか？先生。』

突然、Aからそう言ってきた。

「うーん。俺もそんな権利なくない？」

夜中に飲み歩いて生徒とばったり会ったなんてな。

『ははっ笑
確かに。じゃあ、今日のところはお互い様ってことで…さよならー。』

と、帰ろうとするA。

ダメだ、ここで帰したら何かがダメな気がする。

「待って…」

気がつくと俺はAを後ろから抱きしめていた。