『守護者の悲劇〜〜悲しみ果てた少年〜〜』part3 ページ7
「ですが、この村の戦力では敗戦は確定かと」
この村は、つい先日に敗戦したばかりだ。
それは半年前のこと。
先代守護者が死んだ原因だ。
「ええ、そうでしょうね。──むしろ、だからこそ、でしょうね」
『だからこそ』...ああ、口減らしか。
根こそぎ食糧を持っていかれたからな。しょうがないと言えばしょうがないか。
「で、兵は如何程で?」
「.........」
お嬢様の顔はいつになくやつれており、生気がない。
太陽のように明るい金髪も、今はどこかくすんで見えた。
「お嬢様...?」
「なんでもない。二百程らしいわよ。先動体として、もう向かってるとか」
そうですか、と短く言葉を交わし、早速戦の準備へと移る。
だが、お嬢様の様子があまりにおかしいため、断りましょうか、と尋ねる。
「ダメよ!...絶対に、ダメ。守護者としての初陣、期待してるわよ」
「...そう、ですか」
お嬢様は、よくこう言っていた。
『私...ね、この村が好きなの。村の営みを見るとね、なんだか癒されるのよ。ジルみたいな戦争孤児を拾って、執事にするくらいは...気に入っているのよ。この村をね』
と。
だからお嬢様は、搾取されるだけの村を見て、胸を痛めているのだ。
「──でも、死にそうになったら、逃げなさい。私を残して逝くなんて許さないんだから」
「...はいッ!」
▲▼
「これは...どういうことだ?」
目の前に広がる光景に思わず絶句し、二の句が続かない。
「問おう。貴様はナカサ村の者か」
「あ、ああ...」
隣村への道半ばで、ナタージ村の軍と遭遇した。
それはあまりに突然で...勿論、心の余裕なんてなかった。
「──ふむ。見たところ、単騎と見えるが...よもや、一人で戦争に参加しようとは思うまい?」
この口ぶりだと...まさか、そんなはずはない。
「待ってくれ。先動体には会わなかったのか」
「少年、先ずは名乗りを挙げたまえ」
「...第三十五代守護者、ジルだ」
すると先頭の男は、ふむ、と一つ頷くと突如笑い始めた。
「ハッハッハッハッ!いやはや、滑稽なり滑稽なり」
「何がだ!」
「...少年、気づかんのか。騙されたんだよ、貴様の村にな」
騙された...?
「どういうことだ、僕が...騙された?」
「ああ、その通り。我らは先動体になんて会ってないし...もっと言えば、
は?
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Nora(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» 感想、ありがとうございます。序章のことでしょうか...?そちらでしたらナハトさんが書いたのでイマイチ分かりませんが、かっこいいと言ってもらい、感激です!これからも影ながら応援してくださると嬉しいです。 (2018年10月4日 19時) (レス) id: e36332a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - この物語の書き方…言い方が凄く好きです!複雑だけど、だからこそ不思議な感覚があって。凄くかっこいいです!!あと、最初の最初の言い回し…もしかしてA●!好きだったりします?(一文字だけ作品名化してますが)だとしたら嬉しいなぁと(( では、これにて失礼 (2018年10月4日 19時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
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