『守護者の悲劇〜〜悲しみ果てた少年〜〜』part2 ページ6
僕は、この村で一番に強かった。
皆は僕を褒め称え、祭り上げ、『守護者』の座を与えた。
沢山の求婚者が波のように押し寄せて来るが、僕には必要なかった。
だって、もう、既に心に決めた女性がいるから。
それが例え、叶わぬ望みだとしても、だ。
彼女はこの村が好きだ。
だから────
「僕がこの村を守らなきゃいけないんだ!」
▲▼
僕の住む『ナカサ村』には、奇妙な伝統がある。
それは、村で一人、『守護者』を決めることだ。
『守護者』とは、有事の際は真っ先に矢面に立ち、皆を守るヒーローのような存在だ。
子供たちは皆、将来は『守護者』の座に就くべく、日々邁進している。
そして、その守護者の決め方は──
「オリァッ!!」
「がっ......くそっ、降参だ」
悔しそうに顔を歪ませ、苦しそうな声で降参を告げる青年。
「──勝負あり!よって、第三十五代守護者は『ジル』に決定するッ!!」
──と、このようにバトルによって決める。
この闘いには年齢、性別、容姿...そして、身分等は一切関係がなく行われる。
故に...僕のような、低俗の輩でも守護者になることは可能なのである。
「ちっ、番犬め。いい気になるなよ」
苦痛に歪んだ顔でそう吐き捨て、降参を宣言した青年は去って行く。
それにすれ違う形で、可愛らしい少女が僕のもとへ小走りで近づいてくる。
「スゴい、スゴいわジルっ!貴方もやれば出来るじゃない!」
「...お嬢様、少々はしたないですよ。淑女なら大勢の前で走ってはいけません。もっと、堂々としていないと」
「あーあー、なーにーもーきーこーえーなーいー!」
まるで子供のような反応。
しかし一転、華のように可憐な笑顔を咲かせ、
「さっすが私のジル!大好きよっ!!」
そう言い抱きつかれると、僕には抵抗する術を持たない。
そんなお嬢様のことを──僕は大好きだったのだ。
僕が守護者となり、早半年。
それは第三十四代守護者が逝去して半年が経ったらことを示しており、少ししんみりとした気持ちになった僕である。
「...ジル」
「あ、はい。どうされましたか、お嬢様?」
「その...戦争、だそうよ」
「──そう、ですか」
お嬢様の手には手紙が握られており、つまり僕の出番ということだ。
「して、それは何日後でどこに行けばいいのですか?」
「...明日、出来ればすぐにでも隣村に行けとのことよ」
隣村...『ナタージ村』のことか。
最近は小競り合いしかしてこなかったが...そうか、遂に、か。
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Nora(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» 感想、ありがとうございます。序章のことでしょうか...?そちらでしたらナハトさんが書いたのでイマイチ分かりませんが、かっこいいと言ってもらい、感激です!これからも影ながら応援してくださると嬉しいです。 (2018年10月4日 19時) (レス) id: e36332a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - この物語の書き方…言い方が凄く好きです!複雑だけど、だからこそ不思議な感覚があって。凄くかっこいいです!!あと、最初の最初の言い回し…もしかしてA●!好きだったりします?(一文字だけ作品名化してますが)だとしたら嬉しいなぁと(( では、これにて失礼 (2018年10月4日 19時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
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