『【同類】は漆黒にて怪しく微笑す』part3 ページ4
前のめりになった彼の顎を、思いきり蹴り抜く。
「ガッ」
無様な悲鳴を上げ、今度は上に仰け反る。
がら空きになった胴体に、正拳突きを見舞わせようとして...
彼の、空を切っていたハズの右腕に掴まれる。
「なっ!?」
「ブッ飛べ...!!」
華奢な僕の体は軽々と持ち上げられ、地面と垂直に放り投げられる。
まずい...空中では体勢が......
これは好機、とばかりに彼も空中へ飛び上がる。
絶賛上昇中の僕の場所までたどり着くと、両手を固く結び、振り上げ──
力一杯降り下ろした。
「お、らぁっ!」
「あガッ!!」
ソニックウェーブを発生させながら、地面と熱烈なキスをする。
直後、地面に出来るクレーターが、彼が僕に加えた威力を物語っていた。
「はぁ...イテテ」
「やはり、その程度では死なぬか」
まぁ、死なないけれどね。
僕らのような概念的存在には、明確な“死”は存在しない。
例え頭を飛ばされようと、即座に復活する。
だからと言って──決して、不死身という訳ではないのだ。
「でもね...油断は禁物だよ?」
「は───!?」
彼が、読んで字の如く“爆発”した。
それも、全身を消し飛ばす勢いで、だ。
「遺伝子レベルで分解される爆弾だよ。ありがたく受け取ってもらいたいね」
彼の返答は、もう、聞こえない。
たった今、僕が“概念”という存在ごとかき消したからだ。
「僕ら概念は自由だからね。これくらいの再現は...余裕なんだよ」
彼は『嘗て死に絶えた生命の悲鳴が具現化したもの』と言っていた。
依り代を失った彼らの悲鳴は...ついぞ誰にも聞かれることのないまま、僕がこの手でもみ消した。
因みに、あの爆弾は僕が顎を蹴った時にどさくさに紛れて彼の腹に設置したものだ。
...バレなくて本当に良かった。
こればかりは経験の差だ。
この体での戦闘は、感覚によるものが大きい。
たかが百年程度のぺーぺーに、少し大人げなかったかな、とさえ思う。
安らかに眠れよ、真っ黒さん。
僕が、足元から消えていく感覚がする。
光の粒子になって、段々と消えていき...
そして───
▲▼
僕があの土地に生まれ落ちたとき、かすかな記憶の奔流が脳に刺激を与えた。
緑豊な自然、動物が多く住む森。
しかし、事件は起こった。
感染症だ。
とある国で大流行したそれの原因は、あの森一帯であると判断した政府は、森に爆弾を落とし──
そこで記憶は途切れた。
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Nora(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» 感想、ありがとうございます。序章のことでしょうか...?そちらでしたらナハトさんが書いたのでイマイチ分かりませんが、かっこいいと言ってもらい、感激です!これからも影ながら応援してくださると嬉しいです。 (2018年10月4日 19時) (レス) id: e36332a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - この物語の書き方…言い方が凄く好きです!複雑だけど、だからこそ不思議な感覚があって。凄くかっこいいです!!あと、最初の最初の言い回し…もしかしてA●!好きだったりします?(一文字だけ作品名化してますが)だとしたら嬉しいなぁと(( では、これにて失礼 (2018年10月4日 19時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
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