『【同類】は漆黒にて怪しく微笑す』 ページ2
「人間は...禁忌にまで手を出してしまった。我ら、人ならざる者さえも恐れたものに、だ」
「そうですか。貴方がたも、大概苦労しているのですね」
故に...と、異形の者は大仰な仕草で告げる。
「この世界、我が更正させて見せようぞ」
と。
▲▼
「今回は...なんだか地面が焼けてるね」
降り立った地面は焼け焦げ、辺り一帯が焼け野原と化していた。
今回に至っては、人の営みどころか文明さえ見ることが出来なそうだ。
「うーん...核戦争後とか、そんな感じかな」
正確に言うならば、『戦争跡地』ってところか。
途方に暮れ、空を仰ぐ。
空には海のように深い青色など見る影もなく、黒く、厚い雲に覆われていた。
まぁ、こういった場所に生まれ落ちるのは何も初めてではない。
それなりに経験しているからこそ言えることなのだが...
「ああ。また『徒歩』か」
大抵、数日は歩かなければいけないのだ。
はぁ...憂鬱。
「のお、旅人よ。喜べ、返事をする許可をくれてやろう」
「────へっ?」
僕のすぐ横に、突然真っ黒な巨漢が現れた。
何の気配もなく。ただ、唐突に。
日が登り、落ち、また登り。
どのくらい時間が経ったか正確には覚えてないが、恐らく三日くらい経った頃だと思う。
そして、瞬時に理解した。
「...ああ、同類ですか」
「同類、とな?」
「いえ、なんでも。此方の事情ですので」
真っ黒な巨漢は、そうか、とだけ頷くと表情の掴めない顔で僕のことを見つめた。
「さて。旅人、答えよ。貴様は何故ここへ来た」
「何故、何故かぁ...」
僕の存在はあやふやなのだ。
故に、そこに明確な答えは存在しない。
“僕がいる”からそこがあるのではなく、“そこがある”から僕が在るのだ。
な、あやふやだろう?
僕は進め続けていた歩みを止め、彼と向き合う。
「僕は世界の観察者です。人の営みを眺めるだけの、概念的存在です。だから、僕がここに来たのではなく、ここがあるから僕がいるのです」
取り敢えず、現状分かっていることをつらつらと語ってみた。
「...ああ、同類とはそういう」
「ええ、そういうことです」
「つまり、なんだ。貴様も我と同じ──人ならざる者なのか」
そうだ、彼の容姿を綴ってみようか。
僕は、彼のことを“真っ黒な巨漢”と表したが...
顔から爪先まで漆黒に彩られ、目も、口も、鼻も。全部が全部、『曖昧』な存在だった。
つまり、彼が真っ黒な訳ではなく、真っ黒が彼なのだ。
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Nora(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» 感想、ありがとうございます。序章のことでしょうか...?そちらでしたらナハトさんが書いたのでイマイチ分かりませんが、かっこいいと言ってもらい、感激です!これからも影ながら応援してくださると嬉しいです。 (2018年10月4日 19時) (レス) id: e36332a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - この物語の書き方…言い方が凄く好きです!複雑だけど、だからこそ不思議な感覚があって。凄くかっこいいです!!あと、最初の最初の言い回し…もしかしてA●!好きだったりします?(一文字だけ作品名化してますが)だとしたら嬉しいなぁと(( では、これにて失礼 (2018年10月4日 19時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
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