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センラside
ワンピースを買ったあと、もうひとつお店を見て黄色いシュシュを買った。
赤いリボンを外して黄色いシュシュをつけたAは、俺たちのライブにいたら完全にセンラーだと思われる格好をしている。
そのまま、センラーになってくれればええのに。
ほんま、なんで坂田じゃないとあかんの。
俺でもええやん。
俺ならそばにいるって。
「折原さん、次どこ行きます?」
下から覗き込まれ、はっと我に返る。
Aの何も知らない純粋な瞳に汚く溜まった黒い何かが浄化されていくのを感じた。
時計を見るとちょうど12時ぐらいを示している。
「んー……そろそろお昼にする?」
「します!」
元気よく答えたAと、フードコートがあるフロアに向かう。
Aが何もせずにそのまま向かってしまいそうだったので、その華奢な細い腕をそっと掴んだ。
「手、繋がへんの?」
そう聞くとAは顔を林檎のように赤くして、俯いてしまう。
……恥ずかしがってるんや、かわいい。
数秒の居心地の悪くない沈黙の後、Aは小さくコクリと頷いた。
「ん」
手を差し出せばその上に小さな手が重ねられて、ぎゅっと握ればそっと握り返してくれた。
Aの顔を見てみるとそれはそれは赤く染まっていて、見ていて楽しくなってしまう。
赤は坂田の色。でも、今赤くなってるのは俺のせい。俺の仕業。
そう考えると嬉しくなり、自然と浮き足立っていた。
「わ、いろいろありますね…」
フードコートにつくと同時に、その店舗の数に驚いてしまう。
昔こんなにあったっけ、増えたんやろか。
「折原さん、あれ買ってきていいですか!」
そう言ってAが指差したのは最近はやりのチーズホットドッグというもの。
あれ、チーズホットドッグって最近はやりやんな?まだ古くないよね?
それはさておき、何を買おうと彼女の自由なので、行ってらっしゃいと手を振る。
店の列に並ぶAのことを横目で見ながら、適当にラーメンでも選んで頼んだ。
数分後に用意されたラーメンからは食欲をそそる匂いがする。
適当に空いている席を確保し、ラーメンを置いた後に二人分の水を用意した。
ちょうど水を用意し終えた頃に、チーズホットドッグとサラダ、唐揚げを載せたトレイを持ったAが現れた。
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響 - これからも頑張ってください!長文失礼しました。(続きです。初めてこんなにコメント書きました(笑)) (2022年3月2日 17時) (レス) id: 7b474202c0 (このIDを非表示/違反報告)
響 - 日替わりのほうで予告を見て読ませていただきました!語彙力ないのでうまく伝えられるかわかりませんが一つ一つのお話がしっかりしていて話の展開も全然急じゃないのに飽きなくてすっごくいい作品でした!個人的には番外編の志麻さんが出てくるお話が好きです(笑) (2022年3月2日 17時) (レス) @page44 id: 7b474202c0 (このIDを非表示/違反報告)
坂ちゃん(プロフ) - やばい。すげぇ似てる。私、恋人いるんですけど、坂田家なんです。その上恋人の好きな色は黄色... (2018年12月24日 11時) (レス) id: 2e3d2564c8 (このIDを非表示/違反報告)
せらてゃ - 全て読ませて頂きました!!小説読んでて初めて笑いましたwwおもしろいとこがたくさんあって笑っちゃいましたwもうかわいかったです!!これからも頑張ってください(><) (2018年11月25日 1時) (レス) id: 838c277702 (このIDを非表示/違反報告)
ほわいとふぃっしゅ(プロフ) - つぼみさん» そのように言っていただけて本当に嬉しいです……。少し先になってしまうのですが、坂田さんの短編を書かせて頂きたいなとは思っているので、気長にお待ちください!! (2018年10月29日 18時) (レス) id: b3ad7ee62f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほわいとふぃっしゅ | 作成日時:2018年9月8日 22時