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ちょっと私語を混えながらも、みんなちゃんとプリントをやっている。
あー、教科書がない。
「あら、どうしたの?」
みんなの様子を見ながら、ゆっくりと女の先生が回ってきて、プリントをやっていないあたしに気がついて足を止めた。
「えっと……。教科書忘れちゃって」
笑いながら頭をポリポリ。
「あら。じゃ、隣の人に見せてもらって」
げっ、坂田に?
パチ。おっと、 目が合ってしまった。
「あ、えっと。見せてくれる?」
「ええよ」
「サ、サンキュー」
ガタン、ガタン。
机を寄せて、あたしは坂田の横に座る。
だけど……。
ああ、妙に硬いこの雰囲気。
イヤだなぁ。
隣が、千里や志麻だったらよかったのになー。
カチカチカチ。
シャープの芯を出して『さぁやるか』って時に、坂田が口を開いた。
「立花って、女にモテるんやな」
ポキッ。
出したてのシャープの芯が、速攻折れた。
「な、なによそれっ」
コイツ、いきなりなにを言い出すのさ〜〜!
なんでもないフリして、あたしはプリントをやろうとしたんだけど。
「ラブレターなんやろ、あれ」
ズコーッ。
あたしは机の上に豪快に突っ伏してずっこけた。
しまった!
こんな時にまで、また吉本新喜劇をやってしまった。
体勢を整え、おそるおそる坂田の方を見てみると、ニヤッと笑って。
「図星なんやろぉ?」
なんて言いやがったの。
思わず口を開いてなにか言い返そうと思ったんだけど、返す言葉が見つからなくて。
ゴン。あたしはプリントの上に顔を埋めた。
「ああ、そうだよ。どーせあたしは、女の子からしかラブレターももらったことがない変わり者だよ。笑いたきゃ笑えばいいじゃん」
へんだ。
なんだかヤケクソになっていると。
「なんで?俺は、いいとおもうけどな」
坂田からの意外な言葉に、あたしは顔を上げた。
「いいじゃん。同性にモテるのって。なんかすごいやろ?」
坂田が、あたしを見てちょっと笑ったの。
へぇー。
笑うの初めて見た。
目が優しくなるんだ。
いや、そんなことよりも。
「全然よくないし、すごくない。またこんなことになって、こっちはホント困ってるんだから」
「また?」
「え?いや、なんでもない。っていうか。なんでわかったの、これがラブレターだって」
あたしが、手紙が入ってるカバンをちょっと見て聞くと。
「わかるて。オレ、勘いいからな!」
ニヤッとする坂田。
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凛(プロフ) - ゆきかさん» ご感想ありがとうございます!!更新頑張らせて頂きます〜! (2019年11月23日 12時) (レス) id: 5fcf5a2bb7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきか(プロフ) - ストーリーの内容ものすごく好みです!更新待ってます! (2019年11月23日 10時) (レス) id: f42ad21887 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - ちあ子さん» コメントありがとうございます。大好きだなんて...!ありがとうございます!! (2019年11月18日 20時) (レス) id: 5fcf5a2bb7 (このIDを非表示/違反報告)
ちあ子 - 初コメ失礼します!!凛さんの作品大好きで、陰ながらいつも応援してました!これからも頑張って下さい! (2019年11月18日 17時) (レス) id: becc6ee825 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 月夜七星さん» ありがとうございます! (2019年11月17日 21時) (レス) id: 5fcf5a2bb7 (このIDを非表示/違反報告)
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