初恋は実らない【センラ】 (ページ35)

今日:7 hit、昨日:9 hit、合計:101,959 hit

・ページ35

今日でバイトを辞めようと思ってた俺は声をかけられたことに驚いたのを覚えてる。

『ここ教えてほしいんですけど……いいですか？』

最後だしいいかと思い「いいよ」と言って、Aたちのいる机に座った。

『どこ？』

『ここです！』

そこはちょうど俺がいつも教えてた単元だった。

簡単なんに……とおもいながらも、相手は分かってないから分かるように丁寧に教えた。

説明し始めて数分、Aは飲み込みが早く理解力もあった。

『わかった！

　ありがとうございましたっ』

そう言って、ニッコリと人懐っこい笑顔を俺にむけた。

『どーいたしまして』

その笑顔にドキッとしたのには気づかないふりをした。

それから俺は塾のバイトを辞めたけど、なぜかAのことが頭から離れなかった。

その時は名前も年齢も知らなかったから、Aのこと何もわからないままだった。

だから、まさか俺が担当するクラスにいるなんて思いもしなかったわぁ。

Aは俺のことなんて覚えてないだろうけど、それでもイイと割り切った。