第４章 先生の部屋 ページ26
結局､あの後ほとんど先生に出くわす事はなく
出会ったとしても学校内なので
口を交わす事はなかった｡
マンションでは一回会ったけど、
ベランダで一言二言交わす程度だった｡
変わった事と言えば
先生がAと呼ぶようになった｡
私は勿論嫌がったけれど
教師なのに何が悪いっ!
と言われて何も返せなかったので
渋々､わかりました…と了承した｡
当たり前だけど授業中は秋川だ｡
あと､先生が数学担当の先生だという事を知った｡
しかも､残念ながら私達の教室担当だ｡
かと言って授業中に口を交わす事はない｡
でも､執拗に当てられるので少しムカついた｡
それ以外は何も変化なく
穏やかな毎日を過ごしていた｡
今日までは…｡
あの夜からニ週間程経ち、
先生の事なんて若干忘れていた私｡
今日もＳＨＲを終え
帰ろうと思い鞄に手をかけた時だった｡
｢秋川〜｣
教卓ごしに私を呼ぶ声がした｡
担任の山口先生だ｡
せっかく､帰ろうと思ってたのに…
なんて思いながら渋々先生の元へ行く｡
｢何ですか？｣
｢ああ､お前
数学担当の相川先生から
呼び出しくらってるぞ？｣
｢…え…｣
｢何か悪い事でもしたのかぁ？
相川先生､数学の準備室に居るから早く行けよ〜｣
なぁんて言いながら
豪快に笑って教室を出て行く｡
｢・・・・・｣
えっと〜
私何か悪い事したっけ？
えっと〜
テレビの音量は小さいし…｡
そんなドタドタ
足音も立ててないし…｡
全部騒音についてだけど｡
何も悪い事なんてしてないじゃんっ!!
｢Aちゃ〜ん!!
ラッキーじゃん!!
相川先生にお呼ばれするなんてさぁ〜｣
ちょうど今の会話を聞いていたあきが､
ニヤニヤしながら話し掛けてきた｡
｢お呼ばれって…｣
呼び出しくらう時点で
良い話じゃないでしょうが｡
呆れ顔であきを見るけど、
あきはそんなの気にしていないらしい｡
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