【アカギ】神出鬼没の。

接近 ページ31

「ひゃっ、あ！？」

アカギさんとの距離が一気に縮まる。


「ち、近いです…」
焦りよりも恥ずかしさでアカギさんの顔が見れない。

「…クククッ……なに、赤くなってるぜ？」

Aの反応に、アカギはますます愉快そうに笑い、腰に回した手をさらに自分に近づける。


「…アンタに聞きたいことが山ほどあるんだ」


私の反応をよそに、アカギさんは言葉を紡ぐ。



「惚れるっていうのは、どんな感じだ？」

「……はい？」

流れ、逆流。
変な想像をしてしまった自分を殴り飛ばしたい…


「教えてくれよ、オレに…

このテの話、オレにはさっぱり分かんねえんだ」


「…それ、本人に聞きます！？」
腰に回された手。
不思議な笑み。
縁がないどころか、手馴れてそうな雰囲気すら漂う。

「ってことはやっぱり惚れてんだ？」

不意を突くように斬りこまれる。

「……っ」

「分かんねえことは本人に聞くのが筋ってもんだ…

そうだろ？」

腰に回した左手はそのまま、右手でタバコを取り出し、何食わぬ顔で火をつけた。


アカギさんのタバコのにおい。


「実際、オレにそんな事を言ってきたのはアンタが初めてだ」

私の顔を避けて、煙を吐き出す。


「知りてえんだよ……なあ、Aさん」


突然名前を呼ばれ、心臓が一気に跳ねる。
アカギさんに聞こえそうなくらい、うるさい。

真っ赤の私とは対照的に、アカギさんは余裕の笑みを崩さない。



「……教えてあげますよ…

その代わり、私の言うこと何でも聞いてくれたら…です！！」

余裕なアカギさんを跳ね除けたくて、思わず強気な発言をしてみた。


これで解放されると思ったが



…しかしそれが凶と出る。


「ククッ…

…ククククッ……

…面白い……いいぜ、のった…」

快諾。
アカギさんはあっさりこの駆け引きにのってしまった。

私は驚くばかり。
結局、墓穴。

しかし約束は約束。
ここから私とアカギさんの運命が動きだした。

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