揺れる ページ9
サキ「おーつせんぱーい!」
サキの大声に、近くにいた人が一斉に振り向いた。
「ちょっ…声でかいよ」
思わずドアの陰に隠れる。
サキ「もう、隠れてどーすんの。先輩に聞かないと」
「聞くって何を…」
私が言いかけると
「Aちゃん、サキちゃん、どーしたのー?」
突然ひょこっと先輩が現れた。
相変わらず、白い歯を見せて笑っている。
サキ「Aが、先輩に聞きたいことがあるそうなんです!」
サキは私を無理やり先輩の前に立たせると、ささっとどこかへ行ってしまった。
「なになに?聞きたいこと?」
先輩がわくわくしたように身を乗り出す。
クリスマスのお誘いなんてできるわけもなく
彼女がいるかどうかなんて聞けるわけもなく
「せ、先輩…」
「はい、なんでしょう?」
「えーっと…」
じっと見つめられ、緊張して声が絡まりうまく話せない。
首を傾げる仕草、
うるんだ瞳、
先輩はこーいうの全部、無意識でやってるんだろうか。
「…イブの日も練習ですか?」
やっと絞り出した声。
なんだか情けない。
「でも夜は集まるよ。
Aちゃんも来る?」
「え…」
予想外の提案に、私の心は正直に揺れた。
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作者名:まな | 作成日時:2012年8月24日 16時