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もろい ページ21

先輩が、私に向き直る。


「俺がAちゃん怒る理由なんかないじゃん(笑)」

「でも…」


「ありがとね。


今の、すげぇ嬉しかった」


…先輩が、笑った。


それが嬉しくて、また、泣いてしまう。


そんな私の肩を、先輩はさすってくれた。


まだ、触れられることに慣れない。


先輩が何気なくやってることに、私だけドキドキするのは
なんか悔しかった。


「…先輩、彼女いるんですか」


「えっ?」


聞き返されて、はっとした。


無意識に口走ってしまったらしい。


答えを聞く勇気なんて、ないのに。


「あの、今のは、違くて…」


わたわたしている私を、先輩はおかしそうに見ている。


「Aちゃん、そんなこと気になんの?」


意地悪な笑み。


「顔真っ赤(笑)」


あ、からかわれてる…。


「だから…!」


「ごめんごめん(笑)


いないよ、
いたら、今日はデートしてるよ」


…確かに、言われてみれば。


「そ、そうなんですか」


「なに?
宏樹に何か言われた?(笑)」


…私は、先輩のこと好きだから、気になるから、聞いたのに。


酒井先輩とか、関係ないのに。


先輩はやっぱり、私なんか恋愛対象じゃないみたい。


「あの、さっきは本当に、ありがとうございました」

改めて頭を下げる。


「いや、俺の方こそ。


玲子先輩に言い返すAちゃん、かっこよかったよ」


いつからこんなに涙もろくなったのだろうか、


先輩の笑顔に、また泣きそうになった。

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作者名:まな | 作成日時:2012年8月24日 16時

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